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第1913回 他とは違う鳥の雌雄

①https://gigazine.net/news/20161125-sparrow-with-four-sexes/より引用の四つの性別を持つノドジロシトドのイラスト

   この回に扱いますのは日本の野鳥の雌雄の区別です。前回では、派手な色合いのオスと、地味で目立たないメスの性的二型の鳥と、雌雄共に同色の鳥の雌雄同色の二つのタイプの色んな鳥を紹介致しました。しかし、世界を見渡せば、理論的に割り切れても、何故か信じられない性別の野鳥がいることもあります。人でいいますと「LGBT」と表現するのか解りませんが、野鳥では①のタイトル写真にありますノドジロシトドのように四つの性別を持つ鳥がいることが、研究者によって発表されましたが、こんな滅多にありません性別ではなく、普通に日本に生息している野鳥の紹介です。

②http://www.birdfan.net/2017/05/12/52528/より引用のつがいのタマシギ(左がメス体長約26㌢、右がオス体長約22㌢)

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②-2.http://jm3dk.sakura.ne.jp/tamasigi.htmlより引用のメスのタマシギの求愛行動

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   タイトルイラストに四つの性別を持ったノドジロシトドの紹介だけしたのですから、そんな珍しい野鳥がこの日本にもいるのかとなりますと、この②-1.の写真の本州中部以南に留鳥として生息するタマシギを持ってくるしかありません。このシギは僅かにしかいない雌雄逆転の性的二型の鳥です。雌雄とも目の周りが勾玉のような模様のアイリングになっていますことから、漢字表記が「珠鷸」ですが、カタカナ表示ではありふれた名前です。しかし、身体の大きさや派手な色合いはメスの方で、オスは身体が小さく、地味な色合いです。繁殖期の求愛行動も②-2.の写真のようにメスがします。つがいになれば、メスは産卵こそすれ、抱卵、郁雛は全てオスの仕事で、産卵を終えたメスはまた縄張りを確保して、別のオスとつがい関係を結びます。一妻多夫の典型的な鳥です。

③-1.https://blog.goo.ne.jp/pandado4/e/aabef94e5251172f785bda7c04c59973より引用のつがいのレンカク(手前がオス、奥がメス共に体長約55㌢、ややメスの方が大きい)

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③-2.https://nine-swans.com/hiroba2/8r/renkaku/renkaku2.htmlより引用の冬羽のレンカク

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   雌雄逆転はタマシギだけかと尋ねられましたら、③-1.の写真のレンカクもそれにあたりますとお答え致します。レンカクの漢字表記は、蓮の鶴と表記して「蓮鶴」です。そんなに首が長い訳でもなく、身体が白い訳でもありませんが…分類としてはチドリの仲間です。日本では迷鳥として本州や四国、九州、南西諸島で数回観察されただけでしたが、その後記録が増え南西諸島ではほぼ毎年記録されています。夏から秋にかけての記録が多いが、越冬例もあります。冬には雪を意識して白くなるのが一般ですが、③-2.の様にレンカクは茶色くなり、雌雄逆転で身体の大きさ、抱卵、郁雛も逆転と、シギの仲間のタマシギと似ています。

④-1.Twitterより引用のつがいのイヌワシ(左がメス体長約89㌢、右がオス体長約82㌢)

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④-2.https://www.chigasaki-nikki.com/2016/08/14/%E4%BA%8C%E7%BE%BD%E3%81%AE%E9%B3%B6/より引用のつがいのトビ(左がメス体長約69㌢、右がオス体長約59㌢)

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④-3.https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32218002550より引用ののツミ(左がメス体長約30㌢、右がオス体長約27㌢)

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   いままでの、鳥たちをご覧頂いて、鳥には性的二型というオスの方がメスよりも身体が大きかったり、派手な色合いの出立ちの鳥たち(一部の一妻多夫の雌雄逆転も含む)と、雌雄同色でオスの身体がメスよりも大きかったりとしたのが、④-1.のワシタカ、ハヤブサの④-1.〜-3.の猛禽類を除いての雌雄分別でした。しかし、ワシタカ、ハヤブサは雌雄同色のオスよりメスの身体の方が大きいのが特徴です。特に狩の難しい鳥食のハイタカオオタカハヤブサなどで著しいです。その理由は飛んでいる鳥を、飛行しながら捕獲するからです。ではなぜメスがオスよりも大きいのでしょう。それは、繁殖期に大きなメスが巣に留まってヒナを守るからという理由が一番ぴったり当てはまります。またヒナが幼鳥となり、身体を温める必要のなくなったメスは、大きな獲物を狩り運び増す。
巣を守るには体が大きい方が有利です。ヒナが幼鳥になった時に、メスは大きな獲物を運びます。

⑤-1.https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/my2016sj/entry-12597850246.htmlより引用のつがいのアオバズク(左がオス、右がメス共に体長約29㌢)

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⑤-2.https://hokkaidolove.jp/now/detail/000249/より引用のつがいのフクロウ(左がオス、右がメス共に体長約50㌢)

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⑤-3.http://labaq.com/archives/51883216.htmlより引用の「フクロウ」の長い脚

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   雌雄同色の猛禽類はメスのほうがオスよりも身体が大きいという割に、⑤-1.の写真のミミズク代表のアオバズクと「フクロウ」代表の⑤-2.のフクロウ共に体長表記は雌雄共に同じ大きさ表示が多いです。また『フクロウ』を飼っている施設でも、オスと思って飼育していましたら卵を産んだとか。プロの飼育員でも『フクロウ』の分別は難しいらしいです。体長表記も『フクロウ』は猛禽類はやはりメスのほうがオスよりも大きなはずです。たまに体重表記がされていますが、やはりメスの体重はオスを上回ります。『フクロウ』の身体測定がやりにくい理由に、⑤-3.の写真の様に、長い脚を胴体の羽毛に納めているからかもしれませんが、雌雄の判別がつきにくいのも確かです。

※ 梟(ふくろう)の場合『フクロウ』と表記する場合は総称で「フクロウ」は科を表し、フクロウは呼称を表しています。

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