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第827回 『フクロウ』の耳について

①http://www.wanpug.com/illust116.htmlより引用のイラスト

   さあまた『フクロウ』を語るときが来ました。『フクロウ』を語るときにややこしいのは『フクロウ』にはよく分別のときに使われる見た目が耳のような「羽角(うかく)」がないものの種を「フクロウ」と呼び、また「羽角」のある種を「ミミズク」と呼び、①の写真は『フクロウ』の仲間の耳のような「羽角」を持たない「フクロウ」の種の中のフクロウということになります。またこの「フクロウ」と「ミミズク」の判別も少し曖昧になっていて、誠に『フクロウ』は語り辛いです。

フクロウ(体長約50㌢)

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 『フクロウ』を漢字表記すると『梟』。音読みは『キョウ』で、訓読みの②のフクロウのほかの意味はつよい・さらすとかになります。『フクロウ』には「フクロウ」と「ミミズク」の括りがありますが、昔の事だからよく伝わらなかったのか、耳のような「羽角」のない「フクロウ」に「羽角」のある③のシマフクロウが入っていたり、また「羽角」のある筈の「ミミズク」の中に「羽角」のない⑤のアオバズクが入っています。まだ『フクロウ』の境界線の矛盾があります。

オオコノハズク(体長約25㌢)

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   ②のフクロウや③のオオコノハズクのように明確にするにはシマフクロウはシマミミズクに、アオバズクはアオバフクロウにして、入れ替えればとも思いました。また『フクロウ』には本当の『耳』の位置が「左右非対称」であると記されている文献が数多くありますが、実際には「左右対称」の種もいます。この項では身近な野鳥がテーマですから、日本にいる『フクロウ』だけで語ると、げっし類(ネズミなど)を食さないシマフクロウアオバズクは「左右非対称」ではないです。

④https://m.facebook.com/pg/wbsjfishowl/posts/より引用のシマフクロウ(体長約70㌢)

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   この二種は『フクロウ』の耳は「左右非対称」とする文献にノーを示した訳です。ではなぜげっし類を捕食する『フクロウ』の耳が「左右非対称」なのかは、いわゆるネズミはこまめに動き回るので、地上の落ち葉の下などをごそごそ動き回られたら、いくら夜行性で夜目が効くと言っても、姿を現さないのでは夜目が効いても見つけるのは難しい。しかし、そのネズミが動きまわるときに発生するその雑音の位置を、感知出来るとしたら、暗くても姿が見えなくでも捕食出来ます。

アオバズク(体長約29㌢)

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      『フクロウ』は両耳時間差により音の水平位置を決め、両耳内強度差(音圧の差)により垂直位置を決めるようで、誤差は1~2度(垂直方向、水平方向とも)で、人のように同じ高さだと、水平方向の音源定位は良いのですが、垂直方向の定位は不十分です。聞き取れる周波数は人とほぼ同じですが感度が極めて良く、立体聴ができるので、音のでどこを察知して狩りが出来るのです。最も敏感な音域は7~8kHzで、ネズミが枯れ草の上を歩く周波数なので「左右非対称」の耳位置なのです。

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