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第847回 ツグミ(3回目)は本当に口をつぐみますか

①https://blog.goo.ne.jp/hiroyuki19601121/e/687c0aed95c3c7ac2da20afa379321feより引用のツグミ(体長約24㌢)の地鳴き

   ツグミというと、日本では冬季に越冬のため飛来する冬鳥です。和名は冬季に飛来した際に聞こえた鳴き声が夏季になると聞こえなくなり、口をつぐんでいると考えられたことに由来すると言われています。ツグミは身近でもあり、また遠い存在かなと思います。私の職場の植え込みに何かをほじくって歩きまわり、こちらの気配を感じると、身体を持ち上げるように立ち止まり、こちらが立ち去ろうとすると、またちょこちょこ歩き出し、その姿は「達磨さんが転んだ」みたいです。

②夏鳥のクロツグミ(体長約22㌢)のさえずり

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   なぜツグミが日本にせっかくわたって来たのにさえずらないのか。それは夏季にシベリア中部や南部で繁殖し、冬季になると越冬のために日本に渡ってくるからです。どんな生き物でも、繁殖をして、その繁殖相手を探すために、野鳥はさえずります。「ここはオレの縄張りで、こんなに良い声で君を迎えにきているよ」みたいにディスプレイしているのです。だからツグミは日本ては骨休めをしに渡ってきます。ツグミの仲間はすべてそうなのかといいますと、夏鳥もいるのです。

③こちらも夏鳥のジョウビタキ(体長約15㌢)のさえずり

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   ツグミといえば、〜ツグミという名前が多いですが、大きな枠組みでみると、②の写真のクロツグミや③のジョウビタキノビタキ、④は留鳥であるトラツグミ、そして一番身近なツグミの仲間であるやはり留鳥のイソヒヨドリ、そしてシロハラアカハラといった野鳥たちがツグミの仲間です。夏鳥や留鳥であるがゆえにさえずりを聞くことができるツグミの中で、このツグミだけは、ダンマリを決め込んでいるから、私たち野鳥を好きな仲間にとって、まさに口を噤む野鳥です。

ツグミの仲間では珍しく留鳥のトラツグミ(体長約30㌢)のさえずり

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   ツグミの仲間は大きく分けて、ツグミ科とヒタキ科です。共に非常に鳴き声が大きくて、またそのさえずりは遠くまで通る鳴き声とされています。ツグミ科、ヒタキ科の共通した地鳴きは「ヒッ、ヒッ、ヒッ」です。地女性より樹上性の高い野鳥です。このツグミは平地から山地にかけての森林、草原、農耕地などに生息しますが、その渡ってくる越冬地ではまず山地の森林に群れて生息し、その後に平地へ移動し分散していきます。渡りの途中では団結して外敵から身を守ります。

⑤YouTubeより引用のこちらも留鳥で雌雄ともにさえずるイソヒヨドリ(体長約25㌢)

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   ツグミの仲間はすごく幅広くて、さえずりが上手ということが分かりますが、この日本にやってくる冬鳥としてのツグミは本当に口を噤んだままなのでしょうか。とことこ、とことこ歩いては止まって、またとことこ、とことこ動き回る達磨さんが転んだだけで、地鳴きをするだけなのでしょうか。ネットでそのことを検索してみましたら、ウグイスも初鳴きと言って、さえずりの練習をするように、ツグミも北の国に渡る春先にさえずりの練習をしています。ダンマリだけでないです。

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