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第973回 コジュケイの生態

①http://www.cec-web.co.jp/column/bird/bird119.htmより引用のコジュケイのつがい(左がメス、右がオス共に体長約28㌢)

   前回のホトトギスが初音を聴かしてくれる前に、ベランダ向こうの竹林の辺りから「ピーッ ピーッ ピーッ」と大きな声の鳴き声が聴こえてきます。冬から春先に大きな鳴き声の主といいますと、ヒヨドリが「ヒーヨ、ヒーヨ」と大きな鳴き声で有名ですが、その鳴き声でもありません。それにヒヨドリは竹林には行きません。見渡しの良い樹木を好みます。それも竹林の地面の方から聴こえ、その後「ビッググイ ビッググイ」と特徴的な鳴き声で鳴きます。繁殖期のさえずりです。

②https://www.check-m.com/pet/Tragopanより引用のジュケイ(体長オス61〜70㌢、メス50〜53㌢)

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   ②の写真は中国にいるジュケイです。キジ の仲間で漢字表記は「綬鶏」です。標高700〜1,400mにある下生えに草やササが密生した混交林に生息し、食性は雑食で、植物の葉、種子などを食べます。オスは頭部は黒、頸部は赤褐色の羽毛で被われ、側頭部にはオレンジ色の冠羽があります。メスは全身が褐色の羽毛で被われ、淡褐色や黒、白の斑紋が点在します。このジュケイをもとにして、和名はジュケイに似ているが、より小型であることに由来し、漢字表記は「小綬鶏」です。

③仲間のキジのつがい(左がオス体長約80㌢、右がメス体長約60㌢)

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   日本古来からの在来種でないことは間違いないようで、中国から持ち込まれ、東京都と神奈川県で放鳥され、日本の環境になじみ降雪地域を除く日本全土の各地に住み着いた外来種の野鳥です。③の写真はキジのつがいで、日本古来の在来種です。しかしその体型はキジとは程遠く、むしろ④の写真のウズラや降雪地域の高山のライチョウなんかと体型は似ています。キジの仲間なので、繁殖期に喉の肉垂が目立つ独特の顔つきで、この小さな身体ながらもキジと同じく蹴爪があります。

④https://note.com/hiho2351/n/n92c936de4b44より引用のウズラのつがい(左がオス、右がメス共に体長約20㌢)

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   コジュケイの中国名は、灰胸竹鶏。胸の部分の灰色が目立ち、竹林に潜むことからつけられたものです。江戸時代、長崎に持ち込まれたコジュケイは竹林に生息していることから「竹鶏(ちくけい)」で、竹林の鶏と体型的にぴったりの名前だと思います。コジュケイは④の写真のウズラテッケイと同様に飼鳥や、狩猟用に放たれました。コジュケイはご存知のように鳴き声が大きく、狩猟に持ってこいの野鳥でした。その後、ウズラは卵や食肉用として家禽化され、今に至っています。

⑤http://photozou.jp/photo/show/167166/37318956より引用のコジュケイの飛行

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   コジュケイキジと同じく地上性の強い野鳥で、食性は雑食で、種子、果実、昆虫、クモなどを食べます。また、コジュケイより大きなキジにしても飛ぶことが苦手で、それ故に非常に警戒心が強く、なかなか姿を現さないといわれています。キジのオスと同じく喧嘩の際には蹴爪を使います。それにしてもキジの「鳴かずば撃たれまいに」のことわざのように、このコジュケイも大きな鳴き声を上げて、ききなしの「チョットコイ、チョットコイ」と相手を引きつけなければいいのに。


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