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第1450回 ワタリガラス

①https://www.advan-group.co.jp/times/karasu_syurui_japan/より引用のワタリガラス(体長約60㌢)

   第1425回では、日本に冬鳥として、渡ってくるミヤマガラスコクマルガラスの二種の黒いカラスを紹介いたしました。日本でご覧いただけるカラスとしては、皆さんが『カラス』と総称で呼んでいる一番身近で、街中にも毎日のようにゴミを漁りにやってくるハシブトガラスに、最近では山間や畑などの田園地帯にいることが多いハシボソガラスの二種がいます。これが少し離れた郊外の川沿いなんかでは、この二種がしのぎを削っている事は多々あります。二種とも雑食性採餌です。

②https://kotobank.jp/word/カラス%28鳥%29-1519294より引用の日本の主なカラスのイラスト

   ※  下図の中のベニハシガラスは日本にはいません。

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   ②の図はカラスの形態を示したものです。日本では身近なハシブトガラスハシボソガラスを筆頭に、ホシガラスなどの留鳥であるカラスが載っています。ここには載ってはいませんが、黒くはないですが、カササギオナガカケスもカラスの仲間です。この留鳥カラス六種に加えて、カラスの仲間には、渡りをするカラスもいるのです。そのカラスはひとつは、ユーラシア大陸から、越冬のため渡ってくるミヤマガラスコクマルガラスで、また最後は北海道に渡るワタリガラスです。

③https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ワタリガラスより引用

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   改めて、何か③の写真のワタリガラスを見ているだけで、凄い圧力を感じます。カラスの仲間では最大級の大きさの体長約60㌢です。身近なカラスでいうと、ハシブトガラスが体長約56㌢ですから、その大きさをご存知の方なら、お分かりいただけると思います。ワタリガラスの漢字表記は渡鴉か、別名『大鴉』で、和名はパッとしませんが、英名は「コモン・レイヴン」あるいは「レイヴン」です。またアイヌ語では「オンネパㇱクㇽ」(老大なるカラス)と呼ばれて敬われます。

https://kebadachi.blog.fc2.com/blog-entry-195.htmlより引用の北欧神話のフギンとムニンの絵画

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   ワタリガラスに纏わる北欧神話では、オーディンの斥候として、フギンとムニンという二羽のワタリガラスが登場し、九世紀からのアイスランドへの入植の歴史を記した植民の書で、最初にアイスランド島に上陸したフローキ・ビリガルズソンが、目指す島の位置を知るために洋上からワタリガラスを放ち、その飛ぶ方角を見て進路を決めたことから、カラスのフローキと呼ばれました。旧約聖書で大洪水の際、水がひいたかどうかを、ノアの方舟からノアがワタリガラスを放ちました。

⑤http://hukumusume.com/366/world/pc/all/139.htmより引用の国鳥ワタリガラスとしているブータン

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   ワタリガラスは、ブータンの国鳥であります。文化的な象徴として、イギリスではチャールズ二世の勅令で、最低六羽のワタリガラスがロンドン塔で飼育されて「ロンドン塔からワタリガラスがいなくなるとイギリスは滅びる」というジンクスがあります。アラスカ州の先住民の中には、ワタリガラスをトーテムとする部族があります。北米太平洋岸北西部の先住民の神話に登場するワタリガラスはトリックスターの属性を持っています。日本に於いてのヤタガラスのようだと思います。


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