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第1051回 珍鳥キガシラシトド

キガシラシトド(体長約17.5㌢)

   最近では、いまも珍鳥には違いないとは思いますが、以前に「珍鳥」と言われた、例えばヤツガシラとか、ミゾゴイヤイロチョウクロウタドリなどの珍鳥はなぜか情報が安定していて、私にとってはまだ見ぬ「珍鳥」には違いないのですが、もう一つ「まだ見ぬ珍鳥」に入らなくなってしまいました。それはこの四種のうちクロウタドリを除く三種は身体つきであるとか、色合いであるとか、身体の特徴がはっきりしています。しかし①の写真の珍鳥キガシラシトドは違っています。

キガシラシトドのメス

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   今回の主人公であるキガシラシトドの漢字表記は「黄頭鵐」で、日本では迷鳥で、今まで東京都での観察例しかありませんでしたが、その後北海道、新潟県、大阪府等で記録されています。名前に「シトド」という語尾がついているのは、よく古名でこの単語を眼にします。アオジノジコホオジロホオアカなどの古名がシトドといわれていました。①の写真をご覧になりましたら、一瞬キガシラシトドホオジロの頭の頭頂に黄色い線があるように見受けられ、メスになると…

アオジ(体長約16㌢)のメス

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   ②の写真のキガシラシトドのメスと、③の写真のアオジのメスを見比べて見ても大きな違いはありません。またよく似ているのは姿形だけでなく、アオジクロジ等のほかのホオジロ科は「ツッ」などという一声の地鳴きで、アオジなどを指すのは、鳴き声もそっくりなせいです。④の写真はホオジロのつがいです。ホオジロは雌雄同色ですが、身体の色合いの濃いのがオス、ちょっと薄いのがメスです。しかし、キガシラシトドは頭にモヒカン状の黄色いオビがあり、これがオスです。

ホオジロのつがい(左側がメス、右側がオス体長約16㌢)

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   また面白いキガシラシトドの話があり、北陸地方の日本海沿岸は潟湖や沼沢地が多く、飛来する鳥たちの楽園でした。そこで鳥にちなむ地名も生まれ、一風変わっているのに、能登半島の中央部にある鳥屋町、石川県鹿島郡の一青(ひとと)黒氏(くろじ)という地名があります。このシトドと歌手の一青 窈(ひととよう)の母親は石川県の一青出身の旧姓が一青でありました。キガシラシトドと直接の関係はないですが、キガシラシトドはホオジロやアオジの仲間で、姿形も鳴き声も似ています。

⑤http://blog.livedoor.jp/saruna/archives/35906921.htmlより引用のキガシラシトドとよく似た野鳥(左側がアオジ、中央がカシラダカ体長約15㌢、右側がホオジロ)

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   では、オスのキガシラシトドと似ているシトドの仲間はといいますと、⑤の写真のアオジカシラダカ、ホオジロの三種が浮かび上がります。キガシラシトドの身体の模様や体色を比べてみましても本当によくに過ぎていると言ってもいいくらいです。ましてや姿形のみならず、鳴き声まで似ていては間違うどころか、例えキガシラシトドが迷鳥の貴重な鳥と知りつつも、この写真のホオジロカシラダカ上がりだと思ってしまいましたら、それこそ珍鳥どころか幻の野鳥となります。

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