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第838回 『古事記』に登場する鳥たち

①https://blog.sei-syou.com/2019-08-02/より引用の古文書

   『古事記』は、一般に現存する日本最古の歴史書であるとされています。和銅5年(712年)に太安万侶(おおのやすまろ)が編集し、元明天皇に献上されました。上・中・下の三巻で、内容は天地開闢 (日本神話)から推古天皇の記事を記述しています。その日本最古の文献にはどのような野鳥が登場しているのかを、取り上げてみました。古事記は構成別に編集され、上つ巻(序・神話)、中つ巻(初代から十五代天皇まで)、下つ巻(第十六代から三十三代天皇まで)の三巻より成っています。

②『翠鳥(ソニドリ)』として『古事記』に載っているカワセミ(体長約17㌢)

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   上つ巻は神代天皇の項には、トコヨナガナキドリ=カケ(鶏)、カリ、カワカリ(≒カルガモ)、キギシ(キジ)、サギ(鷺)、ソニドリ(カワセミ)、スズメ、ウ(鵜)、ヌエ(トラツグミ)、オキツトリ(鴨)、シギが登場しています。やはり、古くから日本の国鳥であるキジとのちにカワセミと現在の名前になったソニドリは、本文や歌謡にも登場しています。野鳥ではありませんが、鶏も本文と歌謡にも登場。鵜は本文と神名人名に登場します。妖怪のヌエ(トラツグミ)として歌謡に登場。カワカリは謎。

③昔から「鵜」の名前で有名なウの仲間のカワウ(体長約82㌢)

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   中つ巻には神武天皇を始めとして九人の天皇の頃です。有名なヤアタノカラス、鵜、ササギ(ミソサザイ)、鷲(サシバ?)、鴨、 クグイ=クビ=シラトリ(白鳥)、鷺、オホタカ(ノセ?≒ノスリ?)、(ヤヒロシラ)千鳥、ニホドリ=ミホドリ(カイツブリ)、トリ(ニワトリ)、ハヤブサとこの項が一番その当時注目された野鳥が登場しています。この中で一番有名なのはヤアタノカラスこと八咫烏(ヤタガラス)です。実在はしませんが、三本脚のカラスが神武天皇率いる軍を導いて勝利させました。

④ササギことミソサザイ(体長約10㌢)は当時はそこら辺の溝にいる身近な野鳥でした

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   下つ巻は仁徳以下9人の天皇の時代に登場する野鳥です。カリ、ヒバリハヤブサ、ササギ(ミソサザイ)、モズ、鳩、タヅ(鶴)、ウヅラドリ(ウズラ)、マナバシラ=ニワスズメ(セキレイ)、鷲と今の野鳥の古名が現れるのも少なくなり『日本書紀』では日本創設に一役かったはずのセキレイが下つ巻に登場します。古名のニワスズメと庭が付いているのはやはり当時は身近な野鳥だったのかもしれません。また中つ巻から登場しだしたミソサザイはこの項では頻繁に登場します。

⑤日本の古来からの野鳥はキジ(左がオス体長約80㌢、右がメス体長約60㌢)、

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   『古事記』でなくても、今現在に国鳥として扱われているキジ、あの有名な昔話の「桃太郎」にも登場する勇敢なキジ、キギスという古名にそのキジのメスの体色に似ていてと名付けられた日本固有種のキジバト。また古い諺の中にも登場するキジ。『雉の頓使い(キジのひたつかい)』とは類義語に「鉄砲玉」があります。大きな違いは、鉄砲玉は刺し違えても相手の命をとり、帰ってこなくて良いという立場の事で、雉の頓使いの場合はその理由が判らない場合です。由緒があります。

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