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第617回 気になるオナガ(3回目)の生息数

①生息数が減っているオナガ(体長約36㌢)

   ①のオナガという野鳥は今では生息数が減っていると言います。日本では分布を狭めて、1970年代までは本州全土および九州の一部で観察されていましたが、1980年代以降西日本で繁殖は確認されておらず、留鳥として姿を見ることはなくなってしまいました。現在は本州の福井県以東、神奈川県以北で観察されるのみとなっているようです。その中で、九州の個体群については近年になって分布を拡大し続けているカササギとの競争に敗れたという説があります。

②敵対する?カササギ(体長約45㌢)

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   オナガはカラスの仲間になるので、頭は良いと思います。また九州からオナガを追いやったのではとされるカササギもまたカラスの仲間です。双方ともに知恵がある中、どうしたのでしょうか。カササギは「カチガラス」または「コウライガラス」といって、その別名の名前の通り、朝鮮半島から人為的に持ち込まれました。カササギは人里の大きな樹の樹上に球状の巣を作り繁殖し、ハシボソガラスのように群れを作らず、主につがいもしくは巣立ち前の雛と少数単位で生活します。

③https://www.google.co.jp/amp/s/omoriohi.exblog.jp/amp/17716835/より引用のオナガの巣

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   この樹上に大きな場所を取るカササギのまん丸で、どんなに大きな野鳥がいるのかと思わせるような営巣のカササギと、ハシボソガラスから巣にいるヒナを守るために知恵を絞り、自分よりも体長は小さいけれど、猛禽類のツミの営巣する近くにオナガ自身の巣を作ることで、ハシボソガラスツミの巣のヒナを襲おうとした時、オナガが見張り番をして、けたたましく鳴き危険をツミに伝えるのです。そうすることによって、ツミも自分のヒナを守れ、オナガも自分の巣を守れます。 

オナガに肩入れする?ツミ(体長約27〜30㌢)

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   ツミオナガの関係はそのような蜜月関係にありました。本来ツミは、巣の半径50m以内に侵入するハシボソカラスなどの捕食者に対し防衛行動を行うことから、卵や雛の捕食を避けるためにオナガツミの巣の周囲で繁殖することが多かったのですが、近年ではカラスの仲間の個体数が増加し、ツミが防ぎきれなくなったことからカラスに対しあまり防衛行動を行わなくなり、オナガツミを頼りにすることが減ってきました。これもまた、オナガの繁殖の妨げにもなっています。

カッコウに托卵されたオナガ

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   またこんなことが報告されています。オナガは律儀にツミに対して、カラスの襲来をけたたましく鳴くことで、ツミの親に知らせていましたが、冬の獲物が乏しい時期に、なんと今度はツミオナガを裏切るというのです。ツミのヒナに親鳥がこともあろうに、オナガのヒナを掠奪して与える…自然界の法則でしょうけど…またオナガはくしくも托卵で有名なカッコウに、育て親にさせられるのです。自分の子供は預け親やその托卵から孵化したヒナに殺され、生息数が減るのです。

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