見出し画像

第862回 不思議な野鳥のつがい関係

①https://www.naturingnews.jp/?p=19524より引用のイワヒバリのつがい(左がメス、右がオス共に体長約18㌢)

   多夫多妻の野鳥って紛らわしいことがいっぱいで①のタイトル写真はイワヒバリのつがいです。高山の岩場に住んでいるヒバリの仲間です。日本では北海道と本州中部以北に亜種イワヒバリは留鳥です。繁殖地では岩場や残雪、草地などを歩き回り、樹木に止まることはあまりありません。また②の写真のツメナガホオジロは、数少ない冬鳥として北海道や日本海側の海岸や埋立地に渡来します。この二種に於いては共に樹木の少ない環境に生息している「多夫多妻」の野鳥です。

②同じく多夫多妻のツメナガホオジロ(体長約15,5㌢)

画像1

    人間にしろ、野鳥にしろ「一夫一妻」はごく普通のことであり「一夫多妻」や「多夫多妻」「一妻多夫」などは全体の6%にも満たない割合だと思います。その中に於いて、野鳥への研究が進むにつれて、その野鳥の今までのつがい関係の変化がうかがわれます。それが、この③の写真のキジのつがい関係です。当初は厳格な「一夫一妻」と思われていたキジは「一夫多妻」となり「乱婚」と言われています。オスが子育てをメスに任せて、自分は他にもメスがいるとされていたからです。

③https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/unicorned/entry-12458316883.htmlより引用の乱婚のキジ(中央がオス体長約80㌢、両脇がメス体長約60㌢)

画像6

   しかし、実際は子育ての終わったメスたちがやはりオスを誘って、③の写真のように、何羽のメスと、オスが群れている写真をよく目にします。この現象は地上性の高い野鳥に多く「多夫多妻」のイワヒバリツメナガホオジロもそうですし、またキジは地上性でもあり「托卵」するカッコウホトトギスも乱婚と言われています。ただ不思議なのはカッコウなどは子育ては、仮親任せですが、キジは生まれたヒナは守り通すからです。しかし、キジは雌雄が揃って「乱婚」らしいです。

④https://note.com/hiho2351/n/n7a0b92478b78より引用のオオミズナギドリのつがい(体長約雌雄ともに約49㌢、左側メス、右側オス)

画像2

   以前に④の写真のオオミズナギドリは数少ない「浮気鳥」と言われました。このオオミズナギドリも海鳥と言うことで、これもまた樹木にはあんまり関係ない野鳥ということになります。また夏鳥としてやってきた京都府舞鶴市で足の管輪から長寿命32年以上であったことから京都府鳥に任命されています。最近のDNAの検査で卵を調べると夫以外の遺伝子が入っているのが見つかったとのことで、浮気する鳥の範囲が広がってしまいました。しかも65%のメスから見つかったのです。

⑤https://tokyo.birdlife.org/archives/world/14654より引用の2羽の雄が最大12羽の雌の集団を共有するハーレムのような一夫多妻制で繁殖するアカハシウシハタオリ(体長約24㌢)

画像4

   かわいそうにつがいのオスは他の子供とも知らずせっせとエサを運んだり、外敵から守ったり身体を張って生きています。その「浮気鳥」はあのツバメもそうらしいです。ツバメも滅多に樹木には止まりません。こうなってくると今後もDNA鑑定で殆どの野鳥は浮気それもメスがしていると思います。メスはつがい相手よりより強い遺伝子を持っているオスが現れるとより強い種を産むために、浮気をしてまで種の保存を優先するのです。⑤のアカハシウシハタオリは「ハーレム」です。

⑥https://tokyo.birdlife.org/archives/world/14654より引用の厳格な一夫一妻を守るベニバラウソ(体長約16㌢?)

画像5

   アカハシウシハタオリは「ハーレム」のような一夫多妻制で繁殖しますが、二羽の雄が連合を組み、最大で十二羽の雌の集団を共有します。受精競争は厳しく、オスは授精の成功率を上げるために、的確に交尾を繰り返し、生存競争を勝ち抜く子孫を残すのです。また「ハーレム」を持つアカハシウシハタオリヨーロッパカヤクグリに対して、⑥の写真のベニバラウソはつがいであるただ一羽のメスに対し、小さいながら頻繁に交尾を繰り返し種の保存のため「一夫一妻」を守ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?