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第735回 軍艦鳥

①https://sp.seiga.nicovideo.jp/seiga/#!/im5166219より引用のイラスト

 「グンカンドリ」というと、人によって受け止め方がいろいろあると思いますが、私には「グンカンドリ」というと、②-1.の写真のように、オスが喉袋を大きく膨らませる繁殖期の求愛ディスプレイを思い起こさせます。この写真のように赤い袋を大きく膨らませるほど、そのオスは繁殖期のメスにもてるということになります。また「グンカンドリ」というのは総称で、②-1.の写真はオオグンカンドリです。日本では太平洋岸に稀に迷鳥として渡来することかあるようです。翼開長が約230㌢にもなる大きな海鳥といえます。

②-1.https://www.vario-media.net/impact/20170601_24554/より引用のオオグンカンドリ(体長約100㌢)

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②-2.飛翔するオオグンカンドリ

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 「グンカンドリ」の和名は英名の意訳で、英名は大型で全身が黒い羽毛で覆われることと、前述のように他の鳥類の獲物を奪う事に由来します。また漢字表記はその説明の通りに「軍艦鳥」です。その英名はかっこよく“Frigatebird”です。その種は②-1.-2.のオオグンカンドリ、③がアメリカグンカンドリ、④のシロハラグンカンドリ、⑤メスグログンカンドリ、⑥コグンカンドリの五種が世界にはいます。なぜ、他の海鳥の餌を横取りするのに「グンカンドリ」なのでしょうか。

③https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アメリカグンカンドリより引用のメスの方が大きなアメリカグンカンドリ(オス体長約102㌢、メス体長約110㌢)

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 「グンカンドリ」の名前がふさわしいのか『海賊鳥』の方が相応しくないかは別にして、この「グンカンドリ」は陸から離れた外洋性の鳥ですが、皮脂腺の発達が悪く羽毛には防水性が無くて、そのため水に濡れると飛べなくなります。また脚が小さく、水掻きも発達していないので泳げません。遊泳能力を犠牲にしたので、曲技飛行を熟達しました。そのため他の鳥から餌を横取りしないと餌が足りず、羽ばたがないと歩けない。

④https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32079000328https://ebird.org/species/spokin1?siteLanguage=jaより引用のシロハラグンカンドリ(体長約100㌢)

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 「グンカンドリ」は、ほとんどの時間は洋上で飛翔しながら生活していますので、歩くときはウォーキングですが、離陸時はホッピングします。これは近種のウと同じことといわれます。また飛翔が得意なのは大きい割りに体重が軽いことで、体重に比べた翼面積が鳥類最大といえます。なんと翼開長はタンチョウとほぼ同じですが、体重は十分の一という身の軽さです。水掻きが不完全で趾(あしゆび)の間に切れ込みがあり、第四趾が前後に可動する欠全蹼足となっていて泳げません。

⑤https://japaneseclass.jp/trends/about/メスグログンカンドリより引用のメスグログンカンドリ(体長約93㌢)

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 「グンカンドリ」はつがいになると、やはり「ウ」もそうするように「集団繁殖地(コロニー)」を形成しましす。求愛行動はオスは頭を反らし翼を振るわせ、喉を膨らませて(写真②-1.)、クチバシを打ち合わせたり(クラッタリング)、鳴き声をあげてメスに求愛します。膨らますのに頚部にある一対の気嚢を膨らませ、完全に膨らむまで10分ほどかかり、真っ赤な立派な風船に仕立てあげます。主に樹上に巣を作り、一回に一個の卵を産み、オスが巣材を集めてメスが営巣します。

コグンカンドリ(体長約76㌢)

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 「グンカンドリ」の雌雄分別は、オス成鳥は全身が光沢のある黒色で、喉に赤い喉袋がある特徴的な体色をしています。メス成鳥は喉から胸にかけて白く、オスメスの区別は容易です。若鳥は頭部から首、胸まで白か淡褐色で腹も白い。これはほかの野鳥にも見られる雌雄の区別をつきにくくして、天敵から身を守ります。その中で③の写真のアメリカグンカンドリはその種の中でも一番大きな体長が最大約114㌢もありますが、この種だけがメスの方がオスより体長が大きいのです。

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