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第2028回 七つの子

①https://www.snowrecords.jp/?pid=89671563より引用の童謡「七つの子」のイラスト

    ①のタイトル画は、私たちが小さい頃に教わった童謡「七つの子」のイラストです。野口雨情が作詞、本居長世が作曲した童謡です。この当時のカラスは滅多に街中には現れませんでした。現れますと「不吉な存在」として忌み嫌われました。しかし子供にはそんな嫌うというような選択はなかった感じがします。この歌の歌詞の謎は「七つの子」は七羽のヒナなのか、それとも人間に例えれば歳が七歳の子なのかでした。今でもこの歌詞は議論され、結論は出ずに今でも謎のままです。

②https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/hashibosogarasu-hashibutobarasu-chigai-miwakekata/より引用の左がハシボソガラス(体長約50㌢)と右がハシブトガラス(体長約56㌢)の比較

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   日本で身近なカラスといいますと、②の写真でハシボソガラスハシブトガラスの比較のように、「七つの子」のカラスは山で営巣し、ヒナを育てていますから、ハシボソガラスだと思われます。昔からの野鳥観察は今のように、双眼鏡やカメラもなかった時代でしたから、ハシボソガラスハシブトガラスも皆んなひっくるめて「カラス」でした。因みにもっと昔は真っ黒な身体の色をした「カラス」もカワウウミウの二種の「ウ」も皆な漢字一字で表して『烏』という字を当て、「カラス」とも「ウ」とも発音されました。『烏』は形状文字で『鳥』の顔の部分の目が黒くて見えないので、真っ黒な「カラス」や「ウ」を『烏』と表され、後に「鴉」と「鵜」の漢字表記です。

③-1.http://www.hokusetsu-ikimono.com/iki-h/inagawa-tori/hashibosogarasu/より引用のハシボソガラスの営巣

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③-2.https://www.google.co.jp/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/ASP4Q7R3GP4NUOHB009.htmlより引用のハシブトガラスの営巣

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   日本の野鳥の呼び方には、カラスやウだけでなく、身近な鳥でいいますと、ハトやセキレイ、フクロウ、ミミズク、タカ、ワシなんかもそうです。繁殖の話に戻しますと、二種のカラスにも、繁殖の違いはあります。ハシボソガラスは3月中旬〜7月、ハシブトガラスだと4月中旬〜8月が多いようですが、いずれにしても生息地の環境のこともありますので、一概には言えないこともあります。ハシボソガラスは③-1.の写真のように意外と低い位置でも平気で営巣してしまい、春一番の葉がない木だととても目立ってしまいます。しかし街中には営巣はしません。餌の捕食も地上で行います。基本的にこの二種のカラスの巣材は木の枝が種で、あとは動物の毛などもうまく使うようです。このハシボソガラスに対して、逆にハシブトガラスは③-2.の写真のように、高くて込み入った樹林を好み針葉樹への営巣が多いですし、また巣材も街中で捕食するだけに、人間が使うビニール紐や針金ハンガーなどと木の枝を組み合わせたものが多いです。知能の高いカラスは、やっぱり街中で人の動きを見つめているハシブトガラスの方が、人間の使うものを自分たちも使うようです。

④-1.https://carasblog.net/20170624.phpより引用のハシボソガラスの一家

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④-2.https://www.birdfan.net/2005/03/10/1118/より引用のつがいのハシブトガラス(左がメス、右がオス)

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   カラスは一度夫婦になると繁殖期以外も常に行動を共にします。そして巣作りや子育て、縄張りの管理まで二羽で協力して行います。カラスは外見でオスとメスの区別はつきにくいですが、カラスはつがいが均等に子育てをしますので、その幼鳥を見分けるのは難しく、ハシボソガラスハシブトガラスも成鳥となった場合の雌雄の身体の大きさはオスの方が肉付きが良く、メスより比較的に大きいです。またハシブトガラスは成鳥となり、つがいで街中のゴミ置きに生ゴミを漁る時に、最寄りの電線から辺りを伺うのがオスで、生ゴミから餌を調達するのがメスといわれます。そんな二種のカラスが巣立って、幼鳥から若鳥になった時に④-1.の写真のようにハシボソガラスは家族と行動を共にすることが多く、兄弟合わせての小さな群れで行動します。対し④-2.の写真のハシブトガラスは若鳥になれば、親鳥は自分たちの縄張りから追い出し、若鳥たち同士で当分群れる様です。

⑤-1.https://www.google.co.jp/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/photo/AS20190302000917.htmlより引用の公園の水道の栓をひねり水を飲むハシブトガラス

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⑤-2.https://karapaia.com/archives/52186748.htmlより引用の枝垂れ柳にぶら下がるハシボソガラスのGIF

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   いままで、カラスの知能の高いことは知られていましたが、最近ではニューカレドニアのカラスが細い枝をクチバシに咥えて、木の幹の穴に潜む幼虫をその枝でひっかけ、ほじくり出して食べたとか、日本ではハシブトガラスが滑り台を滑って遊んでいるとか、また最近では⑤-1.の写真のように、公園の水飲み場の蛇口の栓をクチバシでひねり、水を飲んだとか、古くから言われていたように、ハシボソガラスはクチバシにクルミを咥えて、空から車道にわざと落下させ、クルマに轢かせて、硬い殻を破り、中の実を食べます。⑤-2.のGIFでは、枝垂れ柳の枝をブランコで遊ぶように、ぶら下がって遊ぶなど、人間の行動を観察して、自分に出来ることを学習します。親鳥達がこんなに勉強家で、ヒナへの教育は凄い物を感じます。

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