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第1150回 日本創設の鳥のセキレイ

①http://www.misaki.rdy.jp/illust/doubutu/tori/sozaitext/seki102.htmより引用のセキレイのイラスト

   セキレイの漢字表記の「鶺鴒」「鶺䴇」は、その呼び名も イシクナギ、イモセドリ、ニワクナギ(鶺鴒、熟字訓)、ニワクナブリ(鶺鴒)、ツツ(鶺鴒)、マナバシラ(鶺鴒)、イシタタキ(石叩き・石敲き)、ニワタタキ(庭叩き)、イワタタキ(岩叩き)、イシクナギ(石婚ぎ)、カワラスズメ(川原雀・河原雀)、オシエドリ(教鳥)、コイオシエドリ(恋教鳥)、トツギオシエドリ(嫁教鳥)、ツツナワセドリ(雁を意味することもある)など多くの異名を持っています。キーワードは「叩き」「教え」が強いです。

②日本を創設したとされるセグロセキレイ(体長約21㌢)

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   「古事記」や「日本書紀」に表している表記は『セキレイ』だけで、どの種なのかは明言してはいません。カラスやハト、サギ、ワシタカと同じく、これはその種の野鳥の総称で、これらの名前の野鳥はいません。日本で普通に見られる「セキレイ」は、セキレイ属のセグロセキレイ(日本固有種)、ハクセキレイキセキレイの三種だけで、イワミセキレイは鳥取県岩美町で最初に観察されたことが由来です。日本では数少ない旅鳥または冬鳥として春秋の渡りに観察されるみたいです。

③最近になって街中に進出してきたハクセキレイ(体長約21㌢)

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   セキレイが有名になりましたのは「日本書紀」で日本創設の神であらせられる『イザナギ』『イザナミ』の神々に子供の作り方を授けたというものでした。セキレイが尾を上下に振る動作を見て性交の仕方を知ったという内容の異伝に関する記述があります。しかしそのセキレイが②の写真のセグロセキレイなのか、③の写真のハクセキレイ、④の写真のキセキレイなのかは記述されていません。セキレイの姿形が同じなので、すべてを分類することなしに、セキレイとしたと思われます。

④清流域にしか生息しないキセキレイ(体長約20㌢)

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   またこの三種は大きさもほぼ同じ大きさなのです。今になって古代のロマンともいえる謎を紐解くと、この三種はよく似てはいますが、よく見てみましたら、キセキレイは身体が黄色く顔に覆面みたいなものがありません。パッと見るだけで黄色いセキレイと分かります。またいまでは街中のコンビニの駐車場によく見かけるハクセキレイは日本ではかつては北海道や東北地方など北部でのみ繁殖が観察され、この時期に「日本書紀」の舞台となった現在の山口県には生息していません。

⑤見るからに小さなイワミセキレイ(体長約16㌢)

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   山口県となると、中国地方の一番西側に位置し、島根県岩見からイワミセキレイが近しいかなとも思ってしまいますが、この種は日本では数少ない旅鳥または冬鳥として春秋の渡りの時に渡来するだけといいます。残るセグロセキレイは、日本(北海道、本州、四国、九州)では普通に見られる留鳥または漂鳥で、日本の固有種として扱われることが多いです。よくハクセキレイと似ているため、遠くからは判別しにくいです。そうなると、必然的にセグロセキレイが日本創設に関わりました。

※  この回の野鳥の写真は全てBIRD FANより引用させて頂きました。

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