![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132221769/rectangle_large_type_2_2cde65d17c7f805990fc91beb9a5f4a7.jpeg?width=800)
第1882回 ツルとは ⑵
①https://ameblo.jp/amebatorie01/entry-12794601361.htmlより引用の「紅白の折り鶴」
亀は万年、鶴は千年といわれますように、長寿の象徴として知られています。ここでいう鶴というのは、頭に赤い模様のあるタンチョウを指し、長寿とされる鳥です。日本では古くから、鶴はおめでたい鳥で、そんな縁起のよさから、①のタイトル画の折り鶴は古くから折られてきました。おめでたい千羽鶴も、よいことが起きる前ぶれとされていました。長寿の象徴以外にも、鶴はつがいの仲のよさから夫婦円満の象徴、そして鶴の声は遠くまで届くので天上界に通じる存在ともいわれています。千羽鶴に病気回復という願いが込められるようになったのは、戦時中、兵隊さんがお守りとして身に着けていた千人針の影響があると考えられています。また千羽鶴は平和の象徴という意味もあります。そんな縁起の良い鶴が代表的な鳥とされる『ツル』の実態はどんなものでしょう。
②https://www.tsurugagroup.com/より引用のツルのイメージのひとつ(写真はタンチョウ)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68853001/picture_pc_0ec657517e42722c3bc84bbe9f8e09b1.jpeg)
この頃では科学的に鶴と呼ばれる鳥、すなわち、タンチョウをはじめとする「ツル」であるとか、クイナとか、ヤンバルクイナ、バン、オオバンなどの「クイナ」などを含みますツル目といわれる『ツル』の仲間の身体の構造は肉食や穀物食のものに発達するそ嚢(砂ずり)はありません。その分盲腸が長いです。地上生活、地上で営巣します。後趾は小さく、位置が高いので枝に止まれません。比較的にチドリ目に近く、雌雄で巣作り、抱卵、育雛するものが多い。これらが共通のことです。
③https://umit2011.pro.tok2.com/hakuchoturu1.htmlより引用の「ツル」の仲間のイラスト
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68853427/picture_pc_18f9ae698ab64218a5bcd94dc7226d0a.jpeg)
③のイラストが私たちがよく知っています「ツル」のイメージです。それをツル科といい、特徴を挙げてみますと
⑴ 大型のものが多い(最小のアネハヅルでも体長97cm)
⑵ クチバシは長く鋭い
その理由は魚類や昆虫類を捕獲するのに適しているだけでなく、小さな植物の種子を一粒一粒つまみ上げることもできる
⑶ 鳥としては長寿
⑷ 一卵目から抱卵し、48時間ごとに産卵
育つのは一羽が多い ※ カンムリヅルの産卵数は3(普通のツルは2個)
⑸ 2~3年に一回換羽
初列風切、次列風切、尾羽が同時に纏めて抜ける
※ アネハヅルとカンムリヅル属は徐々に換羽し飛べなくならない
(湿地でなく、草原で生息するので飛べないと生存に不利)
⑹ 後趾が短く、枝には止まれない
※ カンムリヅルは後趾が発達していて、樹上でも活動する
(ツル目で最も原始的な種。普通の鶴も昔は木に止まれた)
④-1.https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/ban-ooban-chigai-miwakekata/より引用のバン(体長約32㌢)とオオバン(体長約39㌢)
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68863821/picture_pc_24599bd969a3c525123aa09bdf369c06.jpeg)
④-2.https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/ban-ooban-chigai-miwakekata/より引用のバンとオオバンの趾の違い
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68869657/picture_pc_1326de18bcffa6bf30ea0e63e1effbdc.jpeg)
前の回では日本の「ツル」の仲間を紹介させて頂きましたので、この項では『ツル』の仲間の「クイナ」の鳥を紹介していきたく思います。まずは「クイナ」の仲間の④-1.のバンとオオバンから始めます。まずバンの漢字表記は「鷭」で、 ⑴ 飛び立ちするのに助走が必要
⑵ 額板→クチバシの角質に由来し硬く、冬は額板の色が褪せ、大きさも小さくなる
⑶ 弁足→水鳥のひれは指と指の間にあるが、バンには指そのものに付いている
⑷ 趾→特に第二趾が長い(④-2.の写真参照)
⑸ 換羽→繁殖後に行われ、一時的に飛べない
⑹ 繁殖→❶ 繁殖中に風切羽が同時に換羽
❷ 蓄積脂肪の多い、小太りのオスがもてる
❸ 普通一夫一妻だが、一夫多妻もあるし、稀に一妻多夫の例も
※1. 一夫多妻でも縄張り一つ(メスたちは母娘が多い)
※2. 一夫多妻のときは全てのメスが同じ巣に産卵し、抱卵、育雛を全員で行う
一妻多夫の報告でも、つがいのオスたちは兄弟
⑺ 巣作り→オスの方が熱心
⑻ 産卵→一つの巣に複数のメスが産卵することも
(24%が一つの巣に、二羽以上のメスが産卵)
⑼ 抱卵→一斉抱卵
❶ オスが七割以上で、メスはしっかり抱卵してくれるオスを選ぶことが重要
❷ メスが縄張防衛を積極的に行い、縄張境界線での闘争はメス同士で激しい
❸ 種内托卵(多重産卵)→託卵を行うメスは、他の巣に産卵した後、自分の巣で産卵し、自分の巣の卵だけ世話。託卵された側はそのまま受け入れるが、遅れて孵化することが多く、無事に育つ率は低い。稀にヨシゴイ等他の種に托卵するケースも
⑽ 若鳥→額板が鮮紅色になると、親の縄張りを離れる
対するオオバンは、バンより大きいだけでなく、⑴ バンよりさらに水辺の生活に適応し、潜水もできる
⑵ バンと違い弁足だが、カイツブリと違い脚を交互に動かし推進
※ カモなどの蹼足と違い畳むことができないので傾けて戻し、泳ぐ時はバンと違い、尾を上げない
⑶ 浮き巣はイタチ、タヌキから守るのには有利
巣の八割は波により崩壊
⑷ 一日一卵産卵、平均五卵で、第二卵から抱卵
⑸ 年一回繁殖(ヨーロッパのオオバンでは年二回繁殖も多い) ⑹ 幼鳥時は飛べるが、成鳥になると体重増加で飛べなくなる
④-3.https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%8A-54748より引用のクイナの仲間のイラスト
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68872801/picture_pc_838100b82014636374dd73183599d085.jpeg)
④-4.https://ccbio.jp/topics/t004より引用のオオバンとヤンバルクイナ(体長約30㌢)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68872460/picture_pc_52db8f920da94c4e7030070fdf974a5f.jpeg?width=800)
『ツル』の仲間の④-3.の「クイナ」は意外と多いです。その中で一番似ている二種は、④-4.のオオバンのヤンバルクイナです。オオバンは、分類上はツル目クイナ科に属する水鳥です。クイナ科の鳥としては沖縄の山原地方に暮らすヤンバルクイナが有名ですが、やはり『ツル』の仲間です。ヤンバルクイナについては、
⑴ 鳥の胸筋は普通、体重の20%ほどだが、ヤンバルクイナでは1.8%しかない(8g)
腰脚筋は10.4%もある(45g)
⑵ 雄が大きく、ふ蹠60mm、全頭長89mm以上ならオス。
⑶ 虹彩 ❶孵化後1.5ヶ月齢→暗緑灰色~黄褐色
❷ 4ヶ月齢→澄色味のある赤色
❸ 6.5ヶ月齢以降→成鳥と同じルビー色
⑷ 抱卵→一日ニ交代 通常夜間はオス
⑸ ねぐらの木→❶ 太さ平均29cm、幹の根元の傾き67度
❷ ねぐらの枝は高さ平均6.7m
❸ 葉の無い見通しの良い場所
⑹ 飛行→❶ 樹上からの滑空が観察されている
❷ 羽ばたいて空中に浮かび上がるのを目撃されている
⑤-1.https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/ban-ooban-chigai-miwakekata/より引用のつがいのミフウズラ(左がオス、右がメス共に体長約14㌢)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68864135/picture_pc_ba45fdb9a0d70b54ce8b43b8db136b41.jpeg)
⑤-2.http://www.birdfan.net/2013/05/17/22555/より引用のつがいのタマシギ(手前がオス体長約22㌢、手前がメス体長約26㌢)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68878687/picture_pc_50a0e5aaf0fc46c326408e628838e6c0.jpeg)
ちょっと前まで、⑤-1.のミフウズラは『ツル』の仲間とされていました。体長約14㌢ですから、オスのタンチョウの十分の一の大きさとなり、最小の『ツル』ということになります。キジバトに似ているサケイ目に近く、ハト目同様に頸を上げずに水を吸飲できます。また砂浴び、日光浴を好みます。雌雄で巣作り、オスだけで抱卵、育雛。
メスがやや大きいです。ここまでのミフウズラの紹介ではなぜ「オスだけで抱卵」と思われると思いますが、以前にも⑤-2.のタマシギのことを思い出して頂きましたら納得できると思います。ミフウズラもタマシギもメスの方が身体も大きく、目立つ色合いで、丁度他の鳥の裏返しとなります。また両種のメスが他のメスと同じところは、産卵することだけで、産卵後は巣を離れ、また別のつがい相手のオスを探します。繁殖期にはメスからオスへ求愛し、つがいになり、巣作りもオスがして、産卵後の郁雛も全てをオスがして、いまの世の中でいう「育メン」「主夫」を実践しています。ミフウズラは今では『ツル』の仲間ではなく、このタマシギと同じ『チドリ』の仲間です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?