見出し画像

第1546回 落語に登場する鳥 ⑴

①https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=宴会芸より引用の落語を披露する鶏

②-1.https://senjiyose.com/archives/tag/明治より古今亭志ん朝のほろ酔い鶯

画像1

②-2.https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=鶯より引用の梅の木の鶯のイラスト

画像2

②-3.https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=25488033896より引用の本当に存在する鶯宿梅

画像3

    ⑴  鶯(うぐいす)                                                       ❶  鶯のほろ酔い
   『飼っている鶯の声が評判となり、人を集めて披露することになった。
鶯に「良い声で鳴けよ」と言いつけると、鶯が「ここ二、三日寒くて、気が浮き立たないから鳴けません」
そこで景気づけに鶯に一杯飲ませ、ほろ酔いかげんで鳴かせようとすると、「酒で喉が渇いたからお茶を一杯」
茶は冷めていたので、酒の燗をした湯を飲ませると、「舌を火傷した」と、手水鉢のある縁側へ。
主人、「こら、どこへ行く」
「あんまり熱いので埋め(梅)に行きます」』

❷  鶯宿梅                                                                     『ある大家に養子になった若旦那。この頃、道楽が過ぎるので大旦那が仲人を呼んで意見してもらう。

仲人 「どうしたんだ。店のこともかまわないで遊びにうつつを抜かすとは。こんなことじゃ、大旦那に申しわけが立たないじゃないか」

若旦那 「もう、養子の暮らしはいやになりました。どうか、離縁してください」

若旦那 「この間、柳橋で春雨を踊っていたら、芸者が唄の文句で、”身まま気ままになられない、養子臭いじゃないかいな”と言ったのを聞いてから、養子はつくづくいやになりました」

仲人 「そうじゃない。”身まま気ままになるならば、鶯宿梅(おうしゅくばい)じゃないかいな”というのだ。普段から養子であることに引け目を感じているから、養子臭いなんてふうに聞こえてしまうのだよ」

若旦那 「鶯宿梅ってなんですか?」

仲人 「昔、都の清涼殿にあった帝が毎年、楽しみにして愛でていた梅の木が枯れてしまった。帝はたいそうがっかりしているので、これに似た梅の木を探したところ、山城西の京にあったので、その木を持って来た。ところが、それには短冊がついていて、”勅なればいとも賢し鶯の宿はと問はばいかに答えん”という紀貫之の娘の歌が書かれていた。それからこの梅の木を鶯宿梅というようになったんだ」

若旦那 「そうですか、歌の意味はどういうものですか?」

仲人 「なんだ、こんな歌もわからんのか。おまえ、芸者遊びばかりしていないで、和歌の道でも学んだらどうだ。歌の意味は”帝のご命令でございすので、この梅の木は謹んで贈呈いたします。しかしながら、毎年、この梅の枝に宿る鴬が「我が宿はどうしたのか」と問うたならば、どう答えたらよいのでしょうか”というものだ」

若旦那 「なるほど鶯宿梅ですか、養子臭いじゃないんですね」と、少しは気が晴れたようだが、遊びの方は一向におさまらない。また、柳橋に行って芸者にえらそうに鶯宿梅の故事の由来を話したが、なにせ付け焼刃で、支離滅裂になっていしまった。

芸者 「若旦那、なんだかちっとも分かりませんよ。きっと受け売りでしょう」

若旦那 「ああ、これは、大しくじり倍(鶯宿梅?)だ」ってダジャレで締めています』 

③YouTubeより引用の桂米朝の「鉄砲返し」

画像6

   ⑵  鸚鵡(おうむ)                                                    
❶  鸚鵡返し
『礼儀を知らない若者。ご隠居から、「挨拶ぐらいしなさい、相手と同じようにしたらいい」と言われる。
見知らぬ人にも同じ行為をし、相手は気味悪がって逃げる。
それでも追いかけるので、相手は川に飛び込んだ。
若者も飛びこむが、「しまった、俺、金槌やった」』

   ⑶  鴨(かも)                                                           ❶  鉄砲勇助
『鉄砲のように、次々に嘘をつく男。
「北海道は寒い、田圃に鴨が降りる、そのとき寒風が吹き凍る。鴨は脚が固定され動けなくなる。そこへ猟師が鎌で鴨の脚を切る。残った脚は春になると芽が出て一羽の鳥に成長する。しかしその鳥は鴨でなく、鴎(鴨芽=カモメ)だ」』       

④http://sakurabayukiko.net/2019/02/17/akegarasu-kousatu/より引用の『明烏』の絵画

画像4

   ⑷  烏(からす)                                                        ❶  明烏
『倅(せがれ)があまりにも堅物で、心配した日向屋半兵衛、遊び人の源兵衛に倅を吉原に連れて行ってもらう。
吉原は恐ろしい所と信じ込んでいる若旦那をだまして吉原へ。気が付いた若旦那、帰ろうとするが「勝手に出ると袋叩きにあいますよ」と源兵衛に言われ、しかたなく一夜を明かす。

翌朝、源兵衛が若旦那を迎えに行くが、若旦那は布団から出てこない。あきれて源兵衛が先に帰ろうとすると、「先に帰れるものなら帰ってみなさい、大門で袋叩きにあいますよ」』
※「明烏」=明け方に鳴くカラス。男女の交情の夢を破るつれないもの

❷  鍬烏
『農夫が畑に鍬を忘れて帰りかけたが、カラスが「クワクワ」と鳴いて教えてくれた。
家に帰ると庭で飼っている鶏が「クウクウ(食う)」と鳴く。
農夫が、「餌も与えないカラスが鍬を忘れた事を教えてくれた。それなのにお前は人の顔を見るとすぐ餌を欲しがる」と怒ると、鶏が「トッテコウカ」』

※  他には、❸  「小烏丸」、❹  「三枚起請」があります。

⑤https://jbmbkyo.blog.fc2.com/blog-entry-3201.htmlより引用の『雁風呂』の絵画

画像5

   ⑸  (がん)                                                           ❶  雁風呂
『水戸光圀公が東海道掛川宿の茶店で休んでいると、松と雁の屏風があった。「土佐派の将監(しょうげん)が描いたものであろう。松ならば鶴を描くが、誰かわけを知らぬか」。そこへ上方風の旅人が入って来て「喜助、ええもんがある。あの絵や」「雁風呂だすな、分かりますがな」。これを耳にした光圀公は町人を呼んで絵解きをさせた

   雁は羽がいを休めるために柴を一本くわえて旅立ち、日本に着くと松の木の根に落としておき、翌春これを拾って帰る。雁が全部帰っても柴が残る。土地の者は今年もこんなに日本で死んだかと、雁の供養にこの柴で風呂を沸かし、回国の者や困っている者に入らしたという。これを雁風呂というと語った。

 名を聞かれて「大坂町人二代目淀屋辰五郎。江戸へは柳沢様へお貸しした三千両を頂戴に」。光圀公は家来に書面を作らせ「柳沢がよこさなかったらこれを水戸の屋敷に持って参れ。三千両つかわす」。「雁風呂の話ひとつで三千両とは高い雁金(借金)で」「そのはずじゃ、貸金を取りに行く」』

❷  雁とり
『怠け者の八五郎、楽して儲かる算段はないかと御隠居のところに相談に行った。「不忍池に行き、眠っている雁を捕まえ売れ」と言われ不忍池へ。

   八五郎はかたっぱしから雁を捕まえ、腰へ紐で結びつけた。ところが雁が目を覚まし一斉に飛び上がり、八五郎も一緒に天高く舞いあがった。そのうち紐がゆるみ、落っこちるが、運よく五重塔に引っかかる。

   これを見た寺の坊さんたちは布団の四隅を持ち、八五郎に飛び降りさせた。
八五郎が飛び降りると、布団がつぼまり、坊さんが真ん中でゴッツン。そのとき目から火花が散り、布団が燃え八五郎は焼け死んでしまった』
※  上方落語では似たような「鷺とり」がある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?