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第1622回 えっ、この鳥は?

①https://torilog.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-9d42.htmlより引用の二羽ともクロサギ(体長約62㌢)

   最近になって私もようやく、一年のうちで容姿が変わっている鳥を見つけましたら、最終的にはネットや図鑑などで確かめてみますが、なかなか身近な野鳥では少ないので、なかなかはっきりこれだとはいかないです。①の写真は一枚でわかりやすく写っています。この二羽のサギはクロサギです。白いサギがクロサギは違うだろうと思われますが、黒いクロサギは黒っぽい岩礁に多く見られ、白いクロサギは白砂のせいで、空からの外敵より身を守るために敢えて白くなったのです。

②-1.https://orbis-pictus.jp/article/amasagi.phpより引用の冬羽の白いアマサギ(体長約50㌢)

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②-2.https://www.birdfan.net/2020/08/21/79837/より引用のアマサギ

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   また②-1.の写真にはシラサギが写っています。①の写真にもシラサギか写っていましたがそちらは実はクロサギが白砂のおかげで白くなった個体でした。二枚の写真のシラサギでも、良くご覧頂きますとクチバシの色が違います。そして②-2.の写真を見ますと、これはアマサギです。シラサギのクチバシの色は亜麻色のアマサギの色だったんです。アマサギは冬になり、雪景色となった白い景色に溶け込むために、冬羽は羽が白く、シラサギとなりますが、クチバシの色は変わりません。

③-1.https://www.birdfan.net/2021/05/14/82184/より引用の夏羽のユリカモメ(体長約40㌢)

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③-2.https://www.birdfan.net/2018/04/20/61788/より引用の手前だけが夏羽で他は冬羽のユリカモメ

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   アマサギは冬になると雪景色のことを考えてライチョウと同じように白く換羽します。これが反対に夏羽になると普段とは違った容姿になるものもいます。伊勢物語などに登場する「ミヤコドリ」は③-2.の東京都の都鳥であるユリカモメです。日本には越冬のためにやってきます渡鳥です。日本に来る頃には③-1.の写真のように頭の部分が黒いわけではありません。しかし③-2.の写真でもさわかりますように、北の国に帰る頃には、もうすでに頭が黒くなる個体もいて、白黒のオセロです。

④-1.https://www.birdfan.net/2020/03/27/78344/より引用の婚姻色のカワウ(体長約81㌢)

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④-2.https://www.birdfan.net/2019/04/19/69999/より引用の非繁殖期のカワウ

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   今までは生息地の環境や季節の換羽が色んな野鳥の容姿に変化を及ぼしてきましたが、④-1.の写真の鳥は図鑑には載っていない頭の白く身体は白いカワウです。以前にコメントに頭が白く身体が黒いトビより大きな鳥が飛んでいますが、何という鳥ですかと質問を受け、断言は出来ませんが、④-1.の写真のカワウの婚姻色の時の姿ではないでしょうかと答えました。④-2.の非繁殖期の姿は黒いカラスと同じ黒色です。『烏』という漢字はカラスとも読みますが、ウとも読む事ができます。

⑤-1.https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=24358より引用のエクリプスのオスのオシドリ(体長約45㌢)

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⑤-2.https://www.birdfan.net/2017/02/17/50140/より引用のつがいのオシドリ(左がオス、右がメス)

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   ⑤-1.の写真をご覧になられた方の殆どが、あの派手な色合いのオスのオシドリだとは、どなたが思うでしょう。なにも聞かされずにこの一枚の写真をご覧になれば、オシドリのメスかはたまた幼鳥が写っているのだろうとどなたも思うと思います。子育てを終え、非繁殖期のオシドリのオスは色鮮やかな姿からメスと同じ様な地味な羽毛へと変化します。非繁殖期である夏になると「エクリプス」と呼ばれる状態の羽毛へと変化します。なぜか一夫多妻で派手な行いの罰かもしれません。

⑥-1.https://www.birdfan.net/2020/09/04/80035/より引用のゴイサギの若鳥のホシゴイ(体長約58㌢)

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⑥-2.https://www.birdfan.net/2015/07/17/36431/より引用の成鳥のゴイサギ

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   最後に登場します⑤-1.の写真の鳥は名前をホシゴイと言います。これまでの容姿が変わる野鳥たちは生息環境や季節の変わりの換羽、繁殖期の婚姻色、また非繁殖期に起きるカモ特有のエクリプスでしたが、⑤-2.の写真のこのホシゴイは実はゴイサギの幼鳥時の姿なのです。それもゴイサギの言い伝えが、平家物語で醍醐天皇より拝命された五位の位をまもつ野鳥故に、その前のホシゴイからの出世鳥と言うことになります。幼鳥時を過ぎて秋口になりますと換羽して容姿が変わります。

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