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第1690回 鳥の卵

①https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/110700482/?ST=m_newsより引用の鳥の卵

   私たちが「鳥の卵」と言われ思い浮かべるのは、毎日の食卓には欠かせない鶏の卵です。しかし鳥の「卵」とちがって、活字にする時には鶏の「玉子」と漢字表記されます。鶏の卵は孵化することなく食卓で消費される「食用」が目的であるため、メスの鶏が産卵した「卵」はオスの鶏に受精されることのない「無精卵」であるがために食用の「玉子」となり、その玉子は衛生処理を施されたのちに販売店を通じて私たちの食卓に料理として登場します。決して孵化する事がありません。

②https://www.yamada-egg.com/blog/鶏/鶏が先か、卵が先」問題が解決されていた!?/より引用の鶏の卵と孵化

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   とは言っても食肉用のブロイラーと呼ばれる鶏を育てる為に、②の写真のように有精卵を人工孵化させます。これらは人間が食用にする「玉子」の話しです。しかし、自然界の「卵」は母胎からの胎生以外の殆どの動物がこれに該当します。卵生は、ほとんどの魚類、両生類、爬虫類、すべての鳥類、単孔類、殆どの昆虫やクモ綱の繁殖方法です。ではなぜ胎生と卵生の二つの繁殖方法があるのでしょうか。また一部の魚類などには卵胎生という体内で孵化してある程度育って産まれます。

③-1.https://www.crazy-tutorial.com/ja/50851.htmlより引用のイラスト

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 ③-2.https://www.yamada-egg.com/blog/tamago/捨てる前に試してほしい!卵の殻の再利用法/より引用の卵の殻

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   ここでは鳥類を扱っていますので、鳥の「卵」の説明になります。「卵」の殻の部分と中身の部分   ⑴  クチクラ→❶  卵殻の外側を0.01~0.05㍉の厚さで膜状に覆っている。
  ❷  新鮮な卵はザラザラして、光沢がない。洗卵などでクチクラが剥がれると光沢がでてくる。         ⑵  卵殻→❶  卵の全重量の11~15%ほど(ハチドリ4%、ダチョウ12%)
   ❷  卵全体を包む硬い殻、97%が炭酸カルシウム
   ❸  表面には何千もの小さな穴(気孔)が開いていて、ガス交換が可能なので胚は呼吸ができる。
   ❹  鶏卵では大きさ17μmが一万五千個。気孔の数は鈍端部に多く、鋭端部には少ない(砂等を被せる爬虫類では、気孔の数が多い)
   ❺  卵殻の色は子宮部で写し絵のように付けられる。樹洞などに産む卵は白色。開けた場所の卵にはカモフラージュのため、色や模様がついている
   ❻  産卵直後の卵はまだ殻が柔らかいが外気に接するとまもなく堅くなる。                                       ⑶  卵殻膜→❶  厚さ0.07mm  コラーゲンを含むタンパク質  二層ある(外卵殻膜と内卵殻膜)
   ❷  伸縮性がある(厚さは鶏で6マイクロメートル、ダチョウ200マイクロメートル  コピー紙90マイクロメートル)
   ❸  鈍端部では離れて空間ができる(気室)
衣服の原料にもなる  膜をパウダー状にして生地の表面に固着させる  吸湿性があり手触りも良くなる

③-3.https://www.yamada-egg.com/blog/item/712/より引用の卵の中身

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   ⑷  卵白→❶  爬虫類の卵にはほとんど含まれていない(水分90% 蛋白質10%)
※  実験で卵黄を減らしても影響は少なかったが、卵白を減らすと発育不全となり、水分が重要
❷  胚を保護するショックアブソーバーの働きで、
急激な温度変化を和らげる。
アルカリ性(pH9~10)→抗微生物作用を持つ蛋白質が存在し、微生物の侵入を防ぐ。
❸  1.  外水様卵白  23%   2.  濃厚卵白  53%   3.  内水様卵白  17%   4.  カラザ状卵白層  3%   
消炎作用のある酵素リゾチームを含む。
※  風邪薬などの原料として鶏卵の卵白を使う。
⑸  カラザ→❶  バネのような働きで、胚盤が上側になるよう保つ。
  ❷  鋭端部は2本が左巻き、鈍端部は1本が右巻きにねじれる。
  ❸  シアル酸という抗ガン物質が含まれている。
→爬虫類にはないので、発生途中に卵が転がると死んでしまう。
⑹  卵黄
   ❶  水分52% 脂質29% 蛋白質19%(胚の発生に必要な栄養源)
   ❷  濃色卵黄と淡色卵黄が交互に同心円状になった複数の層からなる→黄色はカロチノイド(キサントフィル)によるので、この色素が多いトウモロコシなどを摂取すれば黄色味が増す。
⑺  胚盤→将来のヒナ

④https://matsumototamago.com/egg-stories/748/より引用の卵の気室

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   ⑻  気室→❶  卵のお尻の部分を鈍端部といい、そこは気孔の数が多いので、鈍端部から空気が吸引され気室ができる。
❷  気室の大きさは寒いと卵温が下がり早くでき、冬は大きくなる。卵温と外気温が同じになると卵内容物の収縮が止み、気室の大きさは安定する。   その後は卵の水分が蒸発して気室が大きくなる。
卵が古いほど水分の蒸発で気室が大きくなる。(容積で15%)  孵化間際のヒナは鈍端部にある気室で呼吸する  間違えて鋭端部に頭がいくと窒息死する。(死にごもり)
❸  孵化時期が近づいて槳尿膜(しょうにょうまく)による呼吸から肺呼吸への切り替えのために、鈍端近くの卵殻膜内層に穴を開けて気室の空気を吸い込む。(卵内ピッピング)                                          ❹  ゆで卵の鈍端がへこむのは気室内の空気が卵白を圧迫していたから。
❺  気孔の数→エミュー3万、鶏1万、ミソサザイ300=鋭端では少ない。

⑤https://www.istockphoto.com/jp/ベクター/イースターのための異なる形状の卵の形を設定する卵形ベクトルセットの卵テンプレート-gm1206871922-348239680より引用の卵のイラスト

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   ⑤のイラストは卵の形を表したものです。鳥の卵をほぼ球型といわゆる卵型に類別してみますと、  ❶  丸い卵は1.  丸いほうが丈夫
2.  効果的に暖められる
3.  しかし転卵しやすい
❷  尖った卵は1.  同じ面積の抱卵斑で、丸い卵よりも8%大きな卵を抱卵できる。
2.  卵を大きくすれば発生の進んだ段階で雛を孵化させることができる。
3.  抱卵の効率が良い。
4.  抱卵しないときに、冷めるのが早い。               ❸  卵が白い鳥→元々卵は白色  1.  捕食者から卵を守るよう、色を付け進化
2.  太陽光線から胚を守るという説も
3.  托卵から守るためという説も
❹  1.  ほぼ球形→フクロウ、カワセミ、アカショウビン、ヤマセミ、コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、クマゲラ、アマツバメ
  2.  卵型→カワガラス、コシアカツバメ、カイツブリ、ヨシゴイ、キジバト、カラスバト、イワツバメ、ミソサザイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ                                                                             ❺  卵の色んな形                                          チドリ            1.  球→カワセミ、ハチドリ、ヨタカ
2.  長楕円形→フクロウ、ツバメ、シギ
3.  長円形→ハチクイ、サギ、チドリ
4.  洋梨型→アマツバメ、ハト、ウミガラス               ※  転げ落ちる心配のない場所で産卵するものでは球形の卵が多い。キツツキは穴の中なのに卵型。


















 

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