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第1579回 オス鳥が歌う

①Twitterより引用の鳥が歌ってるイラスト

   前回、前々回と野鳥のさえずりのことを陸鳥、水鳥、猛禽類に分けて紹介致しましたが、何か記事を書いている本人である私もしっくりきませんでした。しかし、現実に於いて、あらゆる野鳥は鳴いています。飼鳥のセキセイインコブンチョウであろうが、身近なスズメやハト、カラス。水辺でもカモやシギ、チドリ、カワウ。猛禽類でもトビアオバズクフクロウも自分たちの生息場所で、早朝、昼中、夕方、真夜中と自分たちのペースで、繁殖期とか関係なしに鳴いて暮らします。

②https://scrapbox.io/mtane0412/第2章%20鳥のさえずりより引用の声を出す人と鳥の声帯と鳴管の違い

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   人が発声できるのは②のイラストのように声帯ひだと言う部位があり、鳥には鳴管という部位が鳥の発声器官で、気管支の左右にあります。人の声帯はひとつですが、鳥では音源が二つ有ることになります。鳥によっては二つ別々に振動させ、振動数の異なる独立した音を同時に出せるので、一羽でデュエットを歌えます。しかし鳴管のない鳥もいまして、走鳥類、コウノトリ類、トキ類、コンドル類、カツオドリ類、ペリカン類がそうです。ペリカン類にはアオサギや白鷺も含みます。

③-1.https://www.irasutoya.com/2018/04/blog-post_23.html?m=1より引用のカラスの会話のイラスト

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③-2.https://www.google.co.jp/amp/s/youpouch.com/2015/04/28/264490/amp/より引用のコマドリ の縄張り宣言のさえずりのイラスト

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   鳥の発声には地鳴き(call)とさえずり(song)があります。地鳴きは一年中行われ、雌雄とも、また幼鳥、若鳥が警戒、個体間の情報伝達に使われます。基本的に野鳥のさえずりは主にオスが繁殖期に縄張り宣言のために行います。さえずり残る要素は歌の最小単位、時間的に途切れない一音です。句は複数の要素がごく短い間隔を開けて連なるものとして、節は複数の句が小休止を置いて連なるもの(フレーズ)。長い囀りは、浅い息をすることによって、呼吸と囀りを同時に行っています。

④https://www.illust-box.jp/s/sozai/116225/より引用の色んなさえずりのイラスト

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   ④のイラストをご覧になっても色んな野鳥がいますから、その歌のパターンも色々です。              ❶  同音反復型→同じ短い要素を多数連続して鳴く。(ホーホー=フクロウ)
❷  異音結合型→複数の異なる要素を組み合わせ繰り返し鳴く。(カッコー=カッコウ)
❸  単一歌節型→構成要素や句の時間的配列が概ね決まっている。(ホーホケキョ=ウグイス)
❹  異歌交唱型→複数の替え歌(レパートリー)を、例えばツーピーピーからツツピーツツピーへと変えて鳴く。(シジュウカラ)
❺  異句交唱型→多様な要素、句、節を入れ替えつつ連続して鳴く。(ギョギョシギョギョシカイカイケケッケ=オオヨシキリ)

⑤https://www.google.co.jp/amp/s/www.atpress.ne.jp/news/59875/ampよりシジュウカラの文章を使う鳴き声のイラスト

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   鳥たちが冬鳥なのに季節外れにさえずったり、⑤のイラストのシジュウカラのように警戒を仲間に知らせるために鳴いたりするそんな鳴き方は        ❶  ジョイソング(浮かれ歌)→ホオジロなどは10~11月ごろにさえずることがあります。また、冬鳥のツグミが季節外れにさえずったり、繁殖期の小春日和に浮かれ歌と軽く考えられていましたが、翌春の縄張り確保と、つがい相手の確保のための大切な行為です。雪の少ない地域では、繁殖期が終了してもホオジロのつがいは、同じ縄張に残り、行動を共にします。継続して棲み続ける個体だけが秋にもさえずります。
❷  ラブソング→一般に言われる繁殖期の「さえずり」オスがメスに対して行う愛の歌
❸  テリトリーソング→モズが秋口に「高鳴き」をすれのは縄張宣言の歌

⑥https://minne.com/items/11055350より引用のドラムを叩く鳥のイラスト

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   ①の項でも紹介いたしましたように鳥の中には鳴管を持たない鳥もいます。そんな鳥は鳴く代わりに繁殖期や縄張り宣言に色んなディスプレイをします。総称ドラミングは鳴き声によらないで生じる音によるコミュニケーションの事をいいます。
❶  ドラミング→タトゥーイングともいう。
キツツキ類が木の幹を激しく叩くことを、一般にはドラミングと呼ぶ。一分間に20回ほど、オスメス共に行う。
❷  クラッタリング→コウノトリアホウドリ、サギではクチバシをカスタネットの様に、叩いて音を出す
雄雌共に出す。800㍍も届く。
昔話『鶴の恩返し』の鶴はコウノトリ
❸  母衣打ち(ほろうち)→母衣とは翼の下の羽のこと。キジヤマドリは、翼で地面を打ち音を立てる。エリマキライチョウでは胸を叩いて音を出す
❹  尾音誇示→オオジシギでは尾羽の摩擦音でなわばりを主張する。

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