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第1952回 鳥のスーパーウーマン

①https://www.shutterstock.com/ja/image-vector/superhero-woman-flight-attractive-young-caucasian-1021279432より引用のスーパーウーマンのイラスト

   ①のイラストのスーパーウーマンは、まだ私が子供の頃、家のテレビは白黒テレビでした。放送が白黒しか流していない時代でした。今でいう人気アニメに「ポパイ」であるとか「トムとジェリー」「飛び出せフィリックス」「マイティハーキュリー」また「奥様は魔女」とか「スーパーマン」とか、当時に海外で流行っている番組を外国の放送局から日本の放送局が購入して放送していました。その中でも、特撮物の「スーパーマン」は一般人がスーパーマンに変身して、空を飛んだり、怪力を発揮したり、悪者を懲らしめるヒーローでした。かっこいい、なんでも熟す男の象徴たるヒーローでした。それがのちに女性にとって変わり「スーパーウーマン」の時代が来たのです。

②http://ono-wildbird.life.coocan.jp/yachou_tamashigi.htmlより引用のつがいのタマシギ(左がオス体長約22㌢、右がメス体長約26㌢) 

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   以前の人間社会は行き過ぎた男尊女卑もありましたが、良い意味での男性が女性をリードして、後には家族となり、男性が外に出て仕事をし、女性が家庭を守り、子育てをするという時代が長く続きました。それは動物社会でも同じことで、ライオンなんかは非常に男尊女卑な生き方の社会です。しかし、逆転現象も見られます。よくその対象として登場しているのが、②の写真のシギチの仲間のタマシギです。今までの鳥の雌雄の特徴と致しましては、オスの身体がやや大きく、またその出立ちは派手であり、それに反比例して、メスはオスよりやや小さく、地味で目立たない身体付きが定例で、ワシタカ、フクロウの仲間は雌雄の身体の大きさが逆転致します。上の写真をご覧頂いても、左がメスより身体が大きく、派手な出立ちなので、オス。またその右は小さくて、地味な色合いだからメスが他の鳥の定例です。しかしタマシギは逆転で、左がメス、右がオスなのです。

③-1.http://maroleopie.blog118.fc2.com/blog-entry-372.htmlより引用のつがいのミフウズラ(左がオス、右がメス共に体長約14㌢)

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③-2.https://blog.goo.ne.jp/assistyanagi/e/60fe3ac0635de2daf2398fe97d2fe30d/?img=d668497ad94e33a65ed5b50983d05c05より引用のレンカク(上のやや小さな方がオス、下がメス共に体長約55㌢)の交尾

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   タマシギが良くネットでも「雌雄逆転の鳥」として紹介されますのは、日本では、本州中部以南に留鳥として生息して観察しやすいシギチだからと思います。水田や湿地、河川の岸など、淡水の水辺に生息し、非繁殖期は小さな群れを形成していることが多いです。夜行性で、夜になると水辺を歩き回って餌を探します。見つけやすいと情報も多いわけです。しかし現実にはタマシギだけが雌雄逆転の鳥ではありません。日本では南西諸島だけにしか留鳥として分布していない③-1.の写真のミフウズラもその一つです。草原や田畑に生息しますが地面とよく似た体色で、それが保護色となり、あまり目立ちません。比較的乾燥した土地を好むと言われています。この鳥は名前にこそ、ウズラと付きますが、ウズラの仲間でなく、この鳥もシギチです。三種目もやはりシギチの仲間で、日本では迷鳥扱いされている③-2.の写真のレンカクです。写真でご覧になってお分かりになるように沼や湖や池沼等に生息する。長い指と爪によりかんじきのように圧力を分散させ、池の上に浮いたスイレンやヒシの葉の上を歩く事ができます。これら三種はすべて一妻多夫の繁殖形態です。

④-1.https://blog.goo.ne.jp/hayabusa2960/e/d0df5dde3326b883930bbce75f8eb199より引用のメスのタマシギの求愛行動

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④-2.https://zukan.com/jbirds/leaf108680より引用のメスのミフウズラの求愛のさえずり

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④-3.https://www.birdfan.net/2018/11/30/66381/より引用のメスがさえずるレンカクの繁殖行動

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   雌雄逆転ということは、他の鳥たちは繁殖期になりますと、オスがなんらかの形をもち、求愛行動にでるのですが、雌雄逆転のこの三種に至りましては、メスがオスに人間でいいますと、プロポーズをしてつがいになります。しかしこの三種は③の項でも述べましたが一妻多夫という繁殖形態です。キジの仲間やオシドリは反対に一夫二妻とか一夫多妻です、この三種のメスは自分から、他の鳥のオスのように縄張り宣言をし、意中のオスとつがい関係を促します。メスは主に夜間にさえずり雄に求愛します(④-1.〜3.の写真参照)。オスとつがいになりますと、一週間程度のつがい形成し、造巣、産卵期間を経て、全ての卵を産み終えるとメスは巣を離れ、次のお世話とつがいになるための求愛行動に移行し、複数のオスをつがいます。

⑤-1.https://www.google.co.jp/amp/s/kiden9173.exblog.jp/amp/24978161/より引用のタマシギの子育て

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⑤-2.http://indiehistory.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/7-a68e.htmlより引用のミフウズラの子育て

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⑤-3.https://www.saiyu.co.jp/blog/wildlife/?tag=%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%82%AFより引用のレンカクの子育て

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   「スーパーウーマン」とタマシギミフウズラレンカクの三種をネットではそう呼びます。それは、本来ならオスがやるべきことをメスが行うからでしょうか。しかし、私は反対に郁雛をするオスのほうが「スーパー父さん」なんではないでしょうか。三種のメスは本来の本能と仕組みである産卵こそすれど、その後の抱卵や郁雛はすべてオスが行うのです。まぁ、三種のメスは自分で縄張りを作り、縄張りを守る強さは感じますが、私はむしろ父ちゃん頑張れと同性からか思います。

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