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第777回 童話の中の野鳥

①https://publicdomainq.net/blue-bird-branch-0020918/より引用のイラスト

   世界的に有名なチルチルとミチルの「青い鳥」を書いたのはメーテルリンクというベルギー人。クリスマスイブの夜に魔法使いのおばあさんから、孫の病気を治すために『幸せの青い鳥』を見つけてきてほしいと頼まれ、色んな場所に探しに行きましたが、結局は連れて帰ることができませんでした。しかし兄妹が眠りこけてクリスマスの朝に起きてみれば、鳥籠の中には青い羽がありました。その野鳥の名は"Tourterelle"といい、和名を夏鳥のコキジバトで、青い鳥ではありません。

②http://hukumusume.com/douwa/pc/world/11/04.htmより引用のイラスト

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   ドイツのグリム童話の200話ある話の中で20話に野鳥が登場します。ガチョウをはじめとして、カラス、ハクチョウ、スズメヒバリミソサザイフクロウサンカノゴイヤツガシラサヨナキドリと十種が登場し、デンマークのアンデルセン童話に登場する野鳥はツバメコブハクチョウ、アヒル、コウノトリサヨナキドリの五種が登場します。スコットランドの民話でもミソサザイが登場し、またイギリスのマザーグースではコマドリがミソサザイと結婚する話や、スズメに殺される話し、キクイタダキとも人気があります。

⑤https://www.irasutoya.com/2013/12/blog-post_429.html?m=1より引用の宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」のイラスト

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   あの宮沢賢治も野鳥が登場する童話を執筆していました。「セロ弾きのゴーシュ」のあらすじはセロ(チェロのこと)を弾く係のゴーシュですが、下手くそで怒られてばかり。鳴き声のドレミファ(音階)を正確に習うためにやってきたカッコウを始め様々な動物が夜毎に訪れ、ゴーシュに演奏をねだり、いつしか上達していくというお話し。また「鳥の物語」は中勘助の大人のための童話集の中で登場する野鳥は雁、鳩、鶴、雲雀、鶯、白鳥、斑鳩、鷹、鵜、鷲、雉子、鵲の話しです。

④https://pixta.jp/illustration/43753672より引用の昔話「鶴の恩返し」のイラスト

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   正月の「松に鶴」ではありませんが、コウノトリを鶴に見間違えたとされる昔話があります。存知の「鶴の恩返し」で、機織りの音のカタカタと鳴る音は実はコウノトリがクラッタリングでクチバシを鳴らしていたというものです。「舌切り雀」の話しでも意地悪なおばあさんがスズメの舌を切ったとありますが短すぎて切れないのではとか「桃太郎」のキジはクチバシで鬼の目を突いたとありますが、なぜキジは鋭い爪か、蹴爪で突かなかったのか、色んな注釈が尽きます。

⑤https://japanesque-life.com/tanuki-illustより引用の「かちかち山」のイラスト

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   「かちかち山」に登場するのはウサギとタヌキと思っていましたら、実は二種の野鳥がいました。タヌキが背負った柴に、ウサギが火打石で火を点けようとした際に石の音を「カチカチっていうのは何?」と聞くタヌキに、「かちかち山のカチカチと鳴くジョウビタキのことさ」とウサギ。
その後、タヌキの背中でボウボウと音を立てて燃え出し「ウサギどん、あのボウボウという音は何だい?」「あれはボウボウ山のボウボウと鳴くサンカノゴイという鳥のこと」って本当ですか。

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