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第733回 鳥の舞妓さん

①https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=603929&word=どすえより引用のイラスト

   世界は広くて、この狭い日本にはいないたくさんの変わった野鳥がいます。名前こそ和風なニュージーランドにいるナナクサインコや、ニューギニアにいる普通の野鳥の色をして、毒を持っているチャイロモズツグミ。そして、ガラパゴスには同じ海鳥の血を吸う吸血鳥のハシボソガラパゴスフィンチ。モザンビークには人間やラーテルという蜜付きの哺乳類を蜜蜂の巣に案内して、巣を壊させて、中の幼虫を食べるミツオシエという変わった野鳥もいます。さて今回はどんな鳥かです。

②https://www.pinterest.cl/pin/146789269091876714/より引用のキガタヒメマイコドリ(体長9〜16約㌢)

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 ②の写真が今回の語らしていただきますキガタヒメマイコドリのオスです。全身が茶色くて、鼻頭から赤くお化粧をして、翼の部分は黒っぽい羽織か何かを着ているようにもみえます。この12㌢くらいの小さな野鳥が、素晴らしい演技を披露するというのです。このキガタヒメマイコドリは南米エクアドルとコロンビアの森に生息し、メスへの求愛ディスプレイで南米アンデス山脈の森に響く不思議な音を響かせます。キガタヒメマイコドリの雄は翼から不思議な音を出して求愛します。

③https://www.nhk.or.jp/darwin-blog/2011/08/14/より引用のキガタヒメマイコドリのつがい(左側がメス、右側がオス)

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 雄は求愛のとき、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」さながらのダンスと、翼を使って奏でる「音楽」で雌を魅了します。羽を震わせて鳴らしている音です。その姿はまるでスズムシ。
音はメスへのラブソング。オスたちは多彩な求愛作戦を繰り広げて繁殖相手を呼び込むのです。そうです。羽を震わせるというか、バタつかせて求愛ディスプレイを行うのは日本では、キジヤマドリがいますが、これは「母衣(ほろ)打ち」といって、このように羽を震わせるのではないです。

④https://www.naturingnews.jp/?p=18256より引用のハリオマイコドリ(体長約9〜16㌢)

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 このキガタヒメマイコドリが行うのは、スズムシやマツムシが行う羽を擦り合わせて音を奏でるというもので、おそらくこのキガタヒメマイコドリしかこの求愛ディスプレイをするものはいません。この種は④の写真のハリオマイコドリをはじめ、キガシラマイコドリオレンジマイコドリキモモマイコドリアオボウシマイコドリと色んな多彩な仲間たちがいますが、さえずりと色彩ディスプレイより、飛ぶことよりもこの求愛ディスプレイをキガタヒメマイコドリは選びました。

⑤https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-10950928377.htmlより引用のキガタヒメマイコドリの羽の秘密

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 キガタヒメマイコドリのオスは、翼を1秒間に107回振動させて音楽を奏でます。これは「ハチドリ」の羽ばたきよりも速く、脊椎動物でこれまでに可能と考えられていた速度よりも速いそうです。その動作の秘密は⑤の写真の羽の形状にあります。先の太い羽の軸がうねのある羽を擦るときに出るのではないかと推測され、それはスプーンで木の板を擦るようなものと推測されます。動画を見るとスズムシはこの音です。バイオリンの音だともっと似ているではないか不思議な鳥です。

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