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第748回 雄化するキジのメス(キジ8回目)

①https://rank1-media.com/I0000482より引用の宝塚の男役の天海祐希

   ①の写真は宝塚の男役の天海祐希ですが、人間の世界では、歌舞伎の世界は男優ばかりで、女役をこなす役者も存在します。しかし、性同一性障害の方以外では女の人が男装しているのはあまり見かけないのですが…まあ宝塚の男役の方は私たちの前で堂々とその男に徹した演技を披露してくださっています。こんな男装化は野鳥ではタマシギが異例ともいえる雌雄逆転の生活を送っています。それは雌雄逆転で、メスがオスの姿をすることではありません。エクリプスでもありません。

②国鳥のキジ(体長約80㌢)

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   日本の国鳥はといえば、昔話の「桃太郎」にお供として登場するキジですが、日本の国鳥を選定する際、理由の一つが『狩猟鳥として親しまれている』でした。胸の筋肉には毛細血管が少なく、
必要な酸素が素早く供給されないので、短時間しか飛べないため、樹上性から地上性へ進化しました。そのため外敵も多く多卵性となり、夜は枝で寝ます。体羽と綿羽には羽軸から派生した後羽があり、保温に役立ち、距(けずめ=骨状突起)があり、脚の後内側面に発達し、武器となります。

キジのつがい(左側がメス体長約60㌢、右側がオス)

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   キジのオスは、春になると顔の肉垂れが大きくなり「ケーン、ケーン」と縄張り宣言し、また「ケッ、ケッ、ケッ」と警報鳴きして、自分の縄張りに入らないように警告します。「ケーケーケー」と敵対鳴きをし、縄張りに侵入したものに対して威嚇をします。「チョケーン、チョケーン」と飛翔鳴きもして上空から威嚇します。つがいになると、メスはオスの縄張り内に入り交尾をすますと、別のオスの縄張りでまた繁殖し、オスは巣には関与せず巣を守るのはメスの役割です。

④この身体で渡りもこなすウズラ(体長約20㌢)

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   キジの仲間にはライチョウコジュケイヤマドリと④の写真のウズラがいて、巣作り、抱卵、育雛の全てをメスが行います。キジは飛行が苦手ですが、ウズラは冬鳥で渡りを行います。ライチョウツバメと同じく時速約40kmで飛行し、コジュケイキジと同じく距(けずめ)をもっています。ヤマドリのオスの体長は約125㌢で、メスは体長約55㌢。それは尾長がオスが約41.5〜95.2㌢と割合が大きいからです。また距もあります。顔面にキジ同様に、赤い皮膚の肉垂れもあります。

⑤http://nakigoe.jp/nakigoe/2017/1710/report02.htmlより引用の高齢のためオス化したキジのメス

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   そのキジのメスには時に雄化羽毛が出るといいます。わかりにくいですが、⑤の写真は天王寺動物園で飼育されているキジのメスです。メスの首周りの羽が光沢を帯びてオスのようになりつつあります。この現象はメスの繁殖機能が終わりを告げていることを意味しているようです。メスのキジには時に雄化羽色のもの(たぶん老化)がでるとされている文献もあるようです。そういえば人間の女の人でも、若い頃はあれだけ女らしかったのにって思える人がってこともありますね。

⑥http://walkandsee.blog80.fc2.com/blog-entry-613.html?spより引用のメスのオシドリのオス化

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   しかしこれはキジだけの現象ではないようです。マガモ、⑥の写真のオシドリコガモオナガガモヒドリガモとカモ類の雄化現象は多いみたいです。ある場所のマガモの四例の雄化の観察で、そのうちの二例が左右の卵巣が精巣に置き換わっていることが判明し、残りの例については同様の現象が老齢のメスに見られだそうです。またオシドリコガモオナガガモにおいても観察されるのは卵巣の退縮あるいは異常によるものに違いないとされています。キジの雄化は老齢です。

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