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第1458回 思ったより複雑にさえずる鳥

①https://sozai-good.com/illust/free-background/cute/37952より引用のイラスト

   鳥類以外の脊椎動物は発声に声帯を用いますが、鳥類は気管の分岐点にある鳴管を用います。鳥類は鳴管による発振音を気管末端の鼓室で共鳴させて発声します。鳥類の発声はさえずりと地鳴きに分けられます。鳥類の中でもスズメの仲間の鳴禽類は鳴管の筋肉がよく発達しており、高度のさえずりをすることができます。左右の鳴管で別の発声して複雑なさえずりを行う種もいます。鳥類の中には、コウノトリやペリカンなどの様に、鳴管が無く、クチバシを打ち鳴らしてさえずります。

②https://www.kuramae.ne.jp/keiyukai/topics_detail/id=4005より引用のタンチョウ(オス体長約140㌢、メス体長約120㌢)

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   ②の写真は二羽のタンチョウが鳴き声をあげています。ツルやハクチョウの仲間はさえずりをしませんが、遠くまでよく響く鳴き声を出します。これは気胸の中で、気管が楽器のトランペットの管のように、渦巻き状になっていて、鳴管で発せられた鳴き声が、この長い気管で響いて共鳴するからです。タンチョウは異なる振動数のふたつの音が同時に重なっているので、多重音声現象が見られるみたいです。録音された様々な種類の鳥の声を音解析ソフト「Raven lite」で調べたようす。

③http://interesting.world.coocan.jp/hphp/b/kbpc/i/i-0216.htmより引用のチャイロコツグミ(体長約19㌢)

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  スズメの仲間の鳥のオスはさえずりがとても上手いです。さえずる鳴管がない鳥は、コウノトリのように、さえずる以外(クラッタリング)のことをして、繁殖期にメスの関心を引こうとします。その他、スズメの仲間以外の鳥はさえずるかわりに、地味なメスに対して、美しい羽を披露したり、踊りを披露したり、光り物をプレゼントしたりする人間並みです。③の写真はゆっくりとした下がり調子の複雑にさえずるチャイロコツグミです。

④http://interesting.world.coocan.jp/hphp/b/kbpc/i/i-0640.htm引用のワキアカトウヒチョウ(体長約21㌢)

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   北米で繁殖するチャイロコツグミのオスは鳴き声が音楽的なことで知られますが、旋律が倍音列に従った音程で構成されていることが研究により判明しました。また④の写真のワキアカトウヒチョウは良く響く素晴らしい声で、玉を転がすような鳴き方をします。それは同時に全く異質な音を二つ以上出すことができるからです。これは左右の鳴管や鳴管の各部を別々に振動させて発声していると考えられます。海外では日本の鳴鳥の様に上手くさえずる種が少ないので取り上げられます。

⑤https://www.birdfan.net/2016/08/05/45457/より引用のウグイス(オス体長約16㌢、メス体長約14㌢)

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   日本には⑤の写真のウグイスを筆頭に、三大鳴鳥として、コマドリオオルリがいます。その中でも誰もが知っている身近な野鳥のウグイスは「ホーホケキョ」というさえずりで有名です。このさえずりを「Raven lite」で計測いたしますと、同一時刻に倍音でない二つ以上の節点が、同一時刻に見られたので、多重音声現象であると考えられます。このウグイスのさえずりも、人工的にヒナから育てたウグイスのさえずりは非常に下手くそなもので、やはり周りの環境が上手くするのです。



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