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第1831回 森の勇者クマタカ

①https://www.google.co.jp/amp/s/fucanon.exblog.jp/amp/30465752/より引用のクマタカ(体長約72〜80㌢)

   ①のタイトル写真のクマタカの漢字表記は「角鷹」「熊鷹」「鵰」と三つありますが、タカの仲間でいいますと「蒼鷹」「大鷹」と漢字の『大』が付くオオタカの体長より二回り以上大きいです。タカの仲間だけでなく、ワシの仲間のカンムリワシよりも大きいです。タカの部類では『大』より『熊』の方が名前的に大きいのです。ただ体長約80㌢ありますのはメスで、オスは体長約75㌢です。翼は幅広く日本に生息するタカ科の大型種に比べると相対的に短いという特徴があります。

②https://www.tcp-ip.or.jp/~wakasugi/Kumataka.htmより引用のつがいのクマタカ

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   ご多分に漏れず、クマタカの性的特徴はオスよりメスの方が身体は大きいです。ただ個体差もあり、判別は難しいと思います。②の写真からは、         ⑴  胴体に比べてオスはメスよりも頭部が大きい。
 これは、他のタカ類やハヤブサ類にも一般的に当てはまる事です。クマタカは他のタカに比べるとやや分かりにくいのですが、写真でじっくり見ると、雌雄の違いが分かります。胴体の大きさに比べてオスは頭部が相対的に大きく感じられます。目視時でも写真判定時でも役に立ちます。

⑵  翼角よりも先の部分の翼先がメスの方が長い傾向にあり、胴体から翼角(小翼羽)までの長さ(A~B)と、翼角から翼先までの長さ(B~C)の比率を見ると、オスよりもメスの方が、翼先の部分の比率が大きくなっています。撮影した写真を見なくても、飛んでいるところを双眼鏡で目視するだけでも、この長さの違いは分かります。

⑶  翼後縁の膨らみはメスの方が激しい傾向にあり、これも、他のタカ類やハヤブサ類にも当てはまることです。一般的に、メスはオスよりも体が大きく体重が重いので、上昇気流を捉えるためにはその分だけ翼面積を大きくする必要があり、そのためメスは、オスよりも翼長が長く、オスよりも翼幅が広くなります。クマタカについてもこれが当てはまり、メスは翼幅を広くするために次列風切・三列風切の後縁が大きく膨らんでいます。そのため、翼全体が幅広く見えるのが特徴です。

③-1.http://qpon.quu.cc/yacho/taka/より引用のノスリ(体長約52〜57㌢)の飛行

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③-2.https://f.hatena.com/Tpong/20061008160247より引用のトビ(体長約59〜69㌢)の飛行

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③-3.https://hachi.sfc.keio.ac.jp/hatikuma.htmlより引用のハチクマ(体長約57〜62㌢)の飛行

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   クマタカは一番大きなタカの仲間ですが、よく上記の三種と間違われることが多いようです。それはまず、クマタカトビと同じくらいの大きさのタカですが、翼の幅が広く、後縁に膨らんだ独特の形をして、トビよりもより大きく見えます。また生息地が重複している猛禽類として、トビハチクマノスリがいます。トビは翼開長が同程度だが翼幅が狭く、特徴的な凹尾を持つので識別はしやすいです。ハチクマはタイプによっては色彩がクマタカに似ているものがいるが、ハチクマは頸が長く見え、翼はクマタカに比べ細長く感じます。ノスリクマタカと似たような飛翔をしますが、クマタカと比べるとかなり小さく、翼角に暗褐色のパッチが見られることで区別できます。

④-1.http://moto8.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-556c.htmlより引用のクマタカの幼鳥

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④-2.http://africanwildlife.blog.fc2.com/blog-entry-300.htmlより引用のアフリカに生息するカンムリクマタカ(体長約80〜99㌢)

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   ネットでクマタカを検索していますと、④-1.のような冠毛が生えたクマタカが現れます。はじめは亜種か別種かと思っていましたが、実はクマタカの幼鳥らしいです。頭部の羽毛は黒く、後頭部には白い羽毛が混じる冠羽をもちます。この冠羽が角のように見えることも和名の由来とされて、「角鷹」と表記されます。どうやら幼鳥の頃はででいますが、成鳥になると畳むことが出来るのです。④-2.はアフリカに生息するカンムリクマタカです。他にはエボシクマタカも冠毛があります。

⑤https://twitter.com/yukiyuchi2/status/1135955987809034241より引用のクマタカの生息地の森

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   クマタカの子育ては、森の生物に支えられます。広葉樹の茂る森は、野鳥や動物を育みます。ヒナは十分な餌に恵まれ育ちます。深い森で生息するクマタカは初夏に新緑の森で子育てをします。親はリスや野うさぎ、小鳥などさまざまで、ヒナに餌をちぎって与えます。飛翔の際にあまり羽ばたかず、大きく幅広い翼を生かして風を捕らえ旋回するソアリングをすることもあります。基本的には樹上で獲物が通りかかるのを待ち襲いかかり、獲物を捕らえる際に翼を畳み、襲いかかります。

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