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第614回 ヘビが野鳥になった?(アリスイ2回目)

①https://tips.clip-studio.com/ja-jp/articles/2092より引用のイラスト

   以前にも語らしめたアリスイ。漢字表記は「蟻吸」で、地表や朽ち木に止まって舌を伸ばし、アリを捕食するからアリスイなんてなんとも早です。その舌の長さは体長17㌢に対して、10㌢もあります。この日本では北海道、本州北部では夏季に繁殖のため飛来する夏鳥、本州中部以西では冬季に越冬のため飛来する冬鳥となります。アリスイは開けた森林、林縁、草原、湿地などに生息します。樹上では木の枝に対して水平に止まり、警戒のために頻繁に首をかしげます。

②通常のアリスイ(体長約17㌢)

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   アリスイは②のような写真を見ていると、私たちに身近な野鳥のスズメをちょっとだけ大きくしたような感じです。何かツグミを小さくしたようにも思えます。ところが驚くことにこのアリスイはキツツキの仲間です。あのアカゲラクマゲラといった野鳥です。コツコツと木を突くキツツキでクチバシが長く、くさび型の尾で体を支えるので、幹に縦にとまったり、登ったりすることができます。そんなキツツキのイメージを持つ私たちにはアリスイは異例なキツツキです。

③同じキツツキの仲間のコゲラ(体長約15㌢)

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   ③の写真はやはりキツツキの仲間のコゲラです。いま一番私たちに身近なキツツキとも言えます。最近では環境の変化から、身体が小さいので、比較的に太くない樹木でも暮らしていけるようで、私のマンション裏の樹木にも現れます。この小さくてアリスイと同じような体長のコゲラでも、キツツキの仲間である象徴の木を突くそのために、幹に垂直にとまったり、木の皮の裏にいる虫を食べますが、このアリスイはしません。

④首の曲がる角度が凄いアリスイ

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   このアリスイが有名なのは、④や⑤の写真のように、首の曲がり方が急であったり、身体の模様が爬虫類の様なウロコ状の羽毛を持ち、まるで爬虫類のヘビが鳥に変身したような錯覚を受けます。フクロウの仲間も首が曲がる角度が凄いですが、このアリスイも④の写真のように曲がり、その首を頻繁に振り向く姿が不吉の象徴とされ、ギリシア神話では恋の呪術に用いられたという逸話があるようです。種小名torquillaは「首を捻る者」の意で、Wryneck(曲がった首)と同義です。

⑤https://www.google.co.jp/amp/s/www.nekoton.com/entry/2019/02/04/020000%3famp=1より引用のヘビに擬態するアリスイ

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   特に⑤の写真をご覧になれば分かると思いますが、パッとみましたら本当にヘビか、トカゲかわからないです。もし尾羽がピンと伸びた状態の写真なら、きっとヘビに間違えるに違いありません。当初私が初めてこのようなアリスイの写真を見たときは、これはアフリカか何処か、未開地で発見された新種かと思いました。ほかの野鳥のヒバリの保護色や、ササゴイの擬態はわかりますが、このアリスイのように、変身する野鳥なんて初めてのことです。ほかにもいるのでしょうか。

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