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第915回 地方色豊かな野鳥

①https://www.little-oasis.jp/blog/?tag=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%94%B0%E5%9C%92%E9%A2%A8%E6%99%AFより引用の田舎の風景のイラスト

   日本には十二種の日本固有種の野鳥がいて、その中には七種の野鳥が、北海道や九州の各諸島や沖縄なんかに生息する島鳥ということが分かりました。残りの五種の固有種にも、アオゲラカヤクグリヤマドリの三種はあまりお目にかかることのない野鳥と言うこともお分かりいただけ、残る二種の野鳥こそが私たちがよく目にする身近な野鳥で、日本書紀に登場のセグロセキレイに、桃太郎でもお馴染みのキジの二種が、本当の日本固有種でした。しかし日本に住み着いた種もいます。

②千島列島にしか生息しないチシマウガラス(体長約76〜89㌢)

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   日本には和名で日本の鳥と思える野鳥がいます。チシマウガラスは千島列島に多く分布しています。蝦夷の地域にはエゾセンニュウ(日本では北海道で繁殖)、エゾビタキは秋の旅鳥。エゾムシクイ(本州などでも繁殖)、イナバヒタキは鳥取県東部(因幡)で初めて発見され、イワミセキレイは石見国(現在の島根県西部)で標本採集されました。ツクシガモは九州北部に多く生息し、リュウキュウツバメは琉球に多く生息。リュウキュウガモは琉球だけに生息し、ヤンバルクイナは日本固有種です。

③出雲地方にしか生息しないイワミセキレイ(体長約16㌢)

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   実はチシマウガラスはアラスカ州南部とロシア東部、エゾセンニュウはインドネシア、オーストラリア、朝鮮半島など、エゾビタキはシベリア、サハリン、エゾムシクイはロシア東部、イナバヒタキは中央アジアからトルコ方面で、日本では迷鳥です。イワミセキレイはロシア、朝鮮半島。ツクシガモはユーラシア大陸の温帯部に広く分布し、リュウキュウツバメはインド、インドネシアなど、リュウキュウガモはインド、東南アジアとヤンバルクイナだけが日本固有種の野鳥です。

④やはり日本に縁のあるウグイス(右側オス体長約16㌢)とメジロ(左側約12㌢)

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   ④の写真はメジロウグイスです。共に日本の春の風物詩としてどちらも有名です。この二種はウグイスが藪中からあまり外には現れないのに、メジロは誰はばかることなしに、街中にも現れて、民家の梅の木までも花の蜜を吸いに来るから、昔から「ホーホケッキョッ」とさえずる野鳥は我が家の梅の木にやってくるメジロがその正体だとされました。梅の木にウグイスが止まっている日本画は事実に反すると目くじら立てずに、その日本ながらの風情を楽しんで欲しいものです。

⑤ニッポニアニッポンのトキ(体長約76.5㌢)

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   このウグイスはサハリン、東部・中部中国で繁殖し、メジロも日本だけでなく東南アジアにかけて分布しています。⑤の写真のトキは学名"Nipponia nippon"として新潟県の県鳥ですが、野生種は絶滅しました。日本の鳥のはずが日本以外でも見られます。それでは何にもならないから、ヤンバルクイナのように本当の日本固有種十二種が存在したり、またチシマウガラスイワミセキレイなど日本固有種ではないにしろ、地方色豊かな野鳥たちが、その地域の人にとっては大切だと思います。

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