第2114回 不思議なモズ
①https://mobile.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1502.html?transfer=pc_to_mobile&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2Fより引用のモズのイラスト
つくづく①のタイトルイラストに使いましたモズを見るたびに不思議な鳥だなと思います。まずはこのイラストをご覧頂きましたらお分かりになると思います。誰が見てもそこらへんにいますちょっとだけ身体の大きな小鳥にしか見えません。現に「鷹になれなかった雀」とこの鳥を揶揄されています。しかし紛れもなく肉食の鳥で、小さなものはミミズや、節足類、昆虫、カエルなどの両生類、小さなトカゲなどの爬虫類、またスズメなどの鳥類、ノネズミ等の哺乳類なども捕食します。
②https://precious.jp/articles/-/25712より引用のモズの漢字の「百舌鳥」
また、モズの話には切っても切れないこの鳥の漢字表記があります。②の漢字イラストはよく難読漢字で子のような問題形式で出されます。三文字の「百舌鳥」の発音数は「もず」の二音です。これだけでも不思議です。あと似ていますのは「百舌」の「もず」です。他には「鶪」「鵙」「鴃」「鴂」「万代」「伯労」などを当てはめます。圧倒的に多いのが三文字の「百舌鳥」で、大阪の地名や駅名などにも使用されています。なぜ「百舌鳥」にしろ「百鳥」にしろ『百』の漢字がつくのかといいましたら、モズはほかの小鳥たちの鳴き真似が上手で、それを受け入れて「百の舌を持つ鳥」として使わせています。また「鶪」の漢字表記にはモズは秋に高鳴きを行います時に、自分の縄張りで一番高くて辺りを見渡せる木立ちの天辺で、犬がきょろきょろと辺りを見渡す目に似ている鳥だからだそうで、こういった名前を付けるにしろ、普段からモズの事を注目された証拠です。
③-1.YouTubeより引用のミミズを速贄にするモズ(体長約20㌢)
③-2.https://msachiko1.exblog.jp/29616374/より引用のセキレイの尾羽だけを速贄するモズ
モズといいましたら、代名詞のように「モズの速贄」という言葉が浮かびます。速贄とは上記の写真の③-1.のように小さなものではミミズから③-2.のセキレイという同じ鳥の仲間まで、色んな獲物を仕留めて、写真みたいに木の枝などに串刺しに致します。なんのためにこの鳥が速贄するのかは ❶ 毒消し説
蛙やイモリの粘液腺に含まれる毒を消すため
※ アメリカオオモズは、毒性の有るバッタを棘に刺し、解毒された頃に食べる
❷ 本能説
小動物を襲い、刺して食べるのが本能的習性
不思議→春や夏にあまり早贄を作らないのはおかしい
❸ 食べ残し説
後で食べるつもりが忘れた 不思議→春や夏に、あまり早にえが残っていないのはおかしい
❹ なわばり説
他のモズに、自分のなわばりを示している
不思議→相手は食べてしまって、効果がない
❺ 貯蔵説
冬に備えて干物として貯える
秋から冬に大量に作る
※ 冬には渡り去るアカモズにもこの習性がある
❻ 結納説
オスの立てた早贄をメスが食べている事が確認済
繁殖期になると、オスの縄張りの中にメスが嫁入りし、良いなわばりかどうか、調べてまわる ※ アメリカオオモズは、棘に刺した獲物を多く保持しているオスほど早くメスとつがいになる
❼ 好き嫌い説
ペリットと早贄で、差があることから捕まえた餌のうち、嫌いなものを早贄にする 不思議→早贄の中には特別な採餌法を必要とするものもあり、たまたま嫌いなものを早贄にするだけとは考えにくい
❽ 処理説
丸呑みできない大きな獲物を引き裂くための処理方法
獲物を素早く殺せる
春から夏に多いが、早速食べてしまうので目に付きにくい
不思議→小さい獲物を早贄にすることもある
❾ 歌の魅力完成度説
モズのオスは10~12月に早贄を蓄える
11月~1月に食べ尽くす
保存食であるなら2月も必要
一月は、モズの繁殖期が始まる直前で、オスが歌い始める時期で、栄養状態の良いオスほど早口で歌え、早口で歌うオスほど、メスにモテる
はやにえを多く消費したオスほど早口で歌える
④-1.https://1946kato.at.webry.info/201803/article_3.htmlより引用のつがいのモズ(左がメス、右がオス)
④-2.https://www.nature-engineer.com/entry/2017/10/18/185750より引用のメスのモズの高鳴き
殆どの鳥がそのように春先になりますと、季節では寒い冬が去り、多くの虫や、両生類、爬虫類が冬眠から覚め動きだしますと、繁殖期が始まります。④-1.の写真のようにモズもつがい相手を見つけるべく、他の小鳥の鳴き真似をして、最終的には、人間でいう婚約指輪を渡すべく、求愛給餌し、受けてくれればつがい成立です。そして巣作り、子育てとやっとこさ、つがい共に子離れもすみ忙しくなくなったころの、秋深くなったころに④-2.の写真のように「高鳴き」が始まります。これは秋深くから冬にかけて、食糧であります生き物が少なくなりますから、お互いが生きていくために、つがいも家族関係も解除して、厳しい冬を乗り切ろうというもので、写真のようにメスも今までいたつがいの縄張りから出て、新たに縄張りを形成し、その中の一番高い木立ちの天辺で、自分以外のモズに対し、ある意味の戦線布告です。
⑤https://sekainotori.com/1898.htmlより引用のアメリカオオモズ(体長約23㌢)
猛禽類のハヤブサには、そ嚢があるが、そうでないモズにはありません。だから、一気に捕食することが出来ないのです。そのためにモズは早贄をするのかもしれません。早贄を作る行動は、子育ての孵化後一か月目からみられます。満腹の時や、獲物が不味いと思われる時に作る傾向があるようです。⑤の写真のアメリカオオモズでは、棘に刺した獲物を多く保持しているオスほど早くメスとつがいになることが出来ます。アメリカオオモズでは、毒の有るバッタでも早贄にして食べます。実験で人がこのバッタを殺して、1~2日たつと食べることができるようです。イスラエルのオオモズは営巣される頃に早贄が最多となりました。実験で早贄を増やすと早く結婚し多くの子供を育てることができました。早贄を取り除くとつがいになれなく、縄張りを捨ててしまう事もあります。高鳴き後冬期縄張りは11月初めに形成され早贄が作られるのは11~1月が多く、消費されるのは12~2月が多いです。まだまだ謎はあります。
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