見出し画像

第840回 古文書の中の鳥たち

①https://blog.sei-syou.com/2019-08-02/より引用の古文書

   第838回『古事記』839回『日本書紀』と語りましたが、この回では『出雲風土記』や『倭名類聚鈔』などの日本の古書に現れた野鳥を語っていこうと思います。当たり前といえば当たり前なのですが、今の世の中のように写真や動画を記録する媒体がなかった時代なのですから、このような世界的にも認められた文献は、非常にその当時の出来事の中での野鳥を表すのに、大変重要な役目を担っていたと思います。同じ鳥なのに時所、語り部によって変化していく過程も大事です。

②『日本書紀』から登場のオシドリ(左がおす、右がメス共に体長約46㌢)

画像1

   しょっぱなに『出雲風土記』に現れた野鳥は、鰞(う)は魚介類の「鰞鰂(うそく=烏賊)でウミウ
鵜飼いからイカ取りをさせられた?鶉(ウズラ)はこの頃は食用ですが、その後に鴛鴦(オシドリ)のように鑑賞用から狩猟として放たれました。その一番種が鴨で狩猟としての食用。鴻鷹(こうよう=狩)はヒシクイの鷹狩、同じく狩される野鳥は、雁も食用、今の国鳥の雉(きぎし)=キジも食用として重宝され、鵠(くぐい)とか白鳥(しらとり)のハクチョウは鑑賞用。『古事記』にも現れています。

③古名では『鵠(くぐい)』と『白鳥(しらとり)』で有名なオオハクチョウ(左がオス、右がメス共に体長約140㌢)

画像5

   鴟鴞(横致?)はずくのことでなく一般に「梟(フクロウ)」「鴟鵂」はミミズクです。鳧(たかべ=ケリ)、コガモは鴨なので食用。鶫(ツグミ)も食用で、昔はキジバトでさえ食用です。またそのツグミコガモキジバトを晨風(ハヤブサ)に鷹狩させます。「晨風(しんぷう)」は一般に夜明けに吹く風。夕風より速くハヤブサの速さの象徴です。
驚くことに鶬(離黄=ヒバリ)も食用です。

④『法吉鳥(ほっきとり)』として意外にも遅く現れたウグイス(体長オス約16㌢、メス約14㌢)

画像5

   「鶬(そう)」は一般にマナヅルのことを指し、また「離黄」は説文に「倉庚(そうこう=コウライウグイス)」の別名とあり、鶯(ウグイス)のことを法吉鳥(ほっきとり)といい『古事記』にも『日本書紀』にも現れなかった日本三鳴鳥のウグイスは『出雲風土記』に始めて登場しました。また国鳥キジより、大きくて、狩の対象となった山鶏(ヤマドリ )は当然に食用です。この頃に鷹より大きな鵰(わし)のオオワシオジロワシはその矢羽が立派なので、強さの象徴として集められました。

⑤『倭名類聚鈔』に登場のフクロウ(体長約50㌢)は「父母を食う不孝な鳥」な野鳥

画像4

   『倭名類聚鈔』に登場するフクロウは「父母を食う不孝な鳥」『古事記』や『日本書紀』に登場するアメワカヒコの葬儀には『古事記』には川住む雁はお供えの食事を運び、鷺は葬式の場を掃き清め、鴗(翡翠)はお供えの食事を作り、雀は米つき女の役、雉は葬式の時、大声で泣く女の役。『日本書紀』では、鶏は棺の運び役、川鴈(かわがん)は葬式の場を掃き清める役、雀は米つき女の役、鴗(そび=翡翠)は弔問の受付、鶺鴒は葬式の時、大声で泣く女の役、鵄(トビ)は死者の衣服を整える役、何と烏は食物を与える役?か鳥葬?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?