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第1095回 野鳥と俳句(2)

①https://ginkan-haiku.sakura.ne.jp/2014-03.htmlより引用の俳句のイメージ

②https://aizuyaichi.or.jp/person/541/より引用の正岡子規

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   5.正岡子規   二題                                                 (37)カイツブリ  鳰(冬)
西ひがし見ては沈むかいつぶり (三器)
かいつぶり顔見合せて又はひる (松尾芭蕉)
鳰の浮巣(夏)
五月雨に鳰の浮巣を見に行かむ (松尾芭蕉)
鳰の巣の一本草をたのみ哉 (小林一茶)
流さるる浮巣に鳰の声悲し (正岡子規)
鳰の巣のところがへする五月雨 (良寛)
(38)カケス  懸巣(秋)
気短に翔びて懸巣の白き腹 (田口冬生)
カケス  樫鳥(秋)
かしどりの飛翔かたむく露の尾根 (蓬生)
(39)カササギ  鵲(秋)
七夕伝説によって秋の季語。
鵲の丸太の先にあまの川 (宝井其角)
(40)カシラダカ(秋)
頭高樹林をわたる白き風 (志摩芳次郎)
(41)カッコウ  郭公(夏)
郭公を待てば応ふるはるかかな (富安風生)
カッコウ  閑古鳥(夏)
郭公の別称 江戸期の句の多くは閑古鳥を用いている。
憂き我をさびしがらせよ閑古鳥 (松尾芭蕉)
親もなく子もなき声や閑古鳥 (与謝蕪村)
(42)鴨(冬)
水底を見てきた貌の小鴨哉 (内藤丈草)
遠干潟沖はしら波鴨の声 (上島鬼貫)
(43)鴎(冬)
水寒く寝入かねたるかもめかな (松尾芭蕉)
かもめ飛ぶ観潮の帆の遅日かな (飯田蛇笏)
(44)カヤクグリ(夏)
茅潜 喨々と夜を 好むらし (堀口星眠)
(45)烏の巣(春)  (烏の季語は四季)
おとされし巣をいく度見る烏哉 (小林一茶)

③http://www.kisetsunootayori.com/00-2401_1/23-12-25-2.htmlより引用の与謝蕪村

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   6.与謝蕪村                                                           (46)カワガラス(春)
河烏出てはまた入る雪解川 (行々子 詠み手)
(47)カワセミ  翡翠(夏)
水辺にすむことや、涼しげな羽色から夏の鳥
かはせみや羽をよそほふ水鏡 (露川責)
(48)カワラヒワ 河原鶸(春)
水あみてひらひらあがる河原鶸 (村上鬼城)
(49)かり  雁(秋)
けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ (一茶)
雪天をふりさけ落ちし孤雁かな (野村泊月)
逝く人に留まる人に来る雁 (夏目漱石)
(50)帰る雁(春)
繁殖のため北に帰る雁。(雁の季語は秋)
日落ちて海山遠し帰る雁 (村上鬼城)
(51)雁風呂(春)  
浜辺に落ちた木を拾い集め、雁の供養のため風呂を焚く風習。
雁風呂や海荒るゝ日は焚かぬなり (高浜虚子)
(52)寒雀(冬)
冬の寒中の雀。冬、食物も少なくなり、より一層人家の間近に来る。
寒雀遠くは飛ばぬ日向かな (日野草城)
(53)キクイタダキ
松毟鳥(冬)  まつむしり キクイタダキの別称。
松の緑をむしるとされる。
「菊戴」と呼ぶ場合は、菊の花にちなんで秋の季語のことも。
ぶらさがりぶらさがりつゝ松毟鳥 (麦城)
(54)キジ  雉(春)  きぎす
奈良時代にはきぎしが多く、平安時代以降きぎすが多い。身を隠せず、すぐに所在を知られてしまう鳥とされる。
雲下りて湖の嶋山きぎす啼く (飯田蛇笏)
愛しけれきぎすの玉子手にとりて (杉田久子)
キジ  雉(春)  きじ
子を思う親の愛情の譬えとして詠まれることが多い。代表的な猟鳥で、猟と関連付けると冬の季語
父母のしきりに恋し雉子の声 (松尾芭蕉)

④https://meigen.keiziban-jp.com/ryoukanより引用の良寛

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   7.良寛                                                               (55)キジバト
鳩の声身に入みわたる岩戸哉 (松尾芭蕉)
(56)キセキレイ(秋)
峡の田の苗代に下り黄鶺鴒 (水原秋桜子)
(57)キツツキ  啄木鳥(秋)
木を突く音がもの寂しく響くから秋の季語
啄木鳥のこぼす木屑や雪の上 (野村泊月)
(58)キビタキ  黄鶲(夏)
鳴き声が男性的で、オオルリの京女に対し、東男と呼ばれる。
黄鶲や沢辺に多き薊の座 (水原秋桜子)
(59)クイナ  水鶏(夏)
緋水鶏は戸を叩くような高音で鳴くので、水鶏叩くと表現することも多い。
縄朽ちて水鶏叩けばあく戸なり (高浜虚子)
(60)クロツグミ(夏)
黒つぐみ桃の枝よりとび翔ちし (皆川盤水)
(61)ケリ  鳧(夏)
鳧の子を野水にうつす植女哉 (加舎 白雄)
ケリ  水札(夏)
水札鳴いて日陰ちろつく流哉 (嵐雪 其袋)
(62)ゴイサギ(夏)
稲妻や闇の方行く五位の声 (松尾芭蕉)
(63)コウノトリ
鸛の巣に嵐の外の桜哉 (松尾芭蕉)

⑤http://www.takasakiweb.jp/takasakigaku/jinbutsu/article/23.htmlより引用の村上鬼城

   8.村上鬼城                                                          (64)コガモ(冬)
日あたりの入江にたまる小鴨哉 (正岡子規)
(65)コガラ  小雀(夏)
朝夕や峯の小雀の門馴るゝ (小林一茶)
(66)ゴジュウカラ(夏)
むづかしやどれが四十雀五十雀 (小林一茶)
(67)コジュケイ  小綬鶏(春)
小綬鶏の来鳴く山辺の春の霜 (田中鬼骨)
(68)小鳥来る(秋)
群れて目立つので秋。単に小鳥だけでも秋の季語
(69)コマドリ  駒鳥(夏)  (こま)(のどあか)
こま鳥の声ころびけり岩の上 (斯波園女)
(70)コヨシキリ(夏)
あけがたや舌打ち鳴きの小葭切 (山田みずゑ)
(71)コルリ  小瑠璃(夏)
古名はちはひるり地面近くで囀る
歯朶くらし小瑠璃のこゑのまろびくる (水原秋桜子)

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