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第1242回 クラシック音楽と野鳥

①Twitterより引用のイラスト

   バードウォッチングの魅力は郊外で、美しい鳥たちのさえずりを聴くことが醍醐味のひとつですが、その野鳥たちを呼ぶためには、鳥笛などを使う人もいることは間違いないですが、その擬似的な道具で鳥の鳴き真似を笛に託すのではなく、一途に野鳥の声を聴き、楽譜に書き換えた音楽家がいました。世界中の鳥の声を採譜した貴重な偉業を成し遂げ、音と色彩についての言及は多く、音を聴くと色彩や模様などを連想するという共感覚の持ち主であるとされたオリヴィエ・メシアン。

②http://blog.livedoor.jp/moviemania1999/archives/52005080.htmlより引用のオリヴィエ・メシアン

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   ②の写真のオリヴィエ・メシアンはフランス、アヴィニョン生まれの現代音楽の作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、音楽教育者です。20世紀前半から後半にかけてヨーロッパの現代音楽界を牽引した作曲家のひとりで、本人は作曲家としての肩書きに加えて、そして鳥類学者としては、世界中の鳥の声を採譜した貴重な偉業を成し遂げ、音と色彩についての言及は多く、音を聴くと色彩や模様などを連想するという共感覚の持ち主であり、その連想を楽譜に書き込むことも多かったです。

③https://jp.123rf.com/photo_31575023_美しいドライアド-フォレストでフルートを演奏します%E3%80%82ロマンスやファンタジー.htmlより引用の森でフルートを演奏する

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   オリヴィエ・メシアンの師匠であるフランスの作曲家ポール・デュカスは「鳥の声を聴きたまえ」と指示して、その教えを忠実に守って、鳥の声を聴き、採譜し、音楽にしまいました。幼少期の頃から鳥たちの歌声に魅了されていました。パリ音楽院の学生時代には鳥類学への関心を高め、その興味は作曲にも多大な影響を与え、彼は鳥たちの声を五線紙に書き起こし、録音機は使わず、ノートを持って出かけ、自分の耳を使って採譜しました。それを自分の音楽作品の素材としました。

④-1.https://mobile.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4524.html?transfer=pc_to_mobile&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jpより引用のイソヒヨドリのつがい(左がメス、右がオス共に体長約25㌢)

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④-2.ノスリ(体長約52〜57㌢)

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④-3.ダイシャクシギ(体長約60㌢)

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   そうして生み出された音楽は、なんとなく「鳥の声っぽく聴こえる」ような甘っちょろいものではなく、どこで何の鳥がどう鳴いたのか、自分の足と耳を使って世界中の鳥たちのデータを集め、もっとリアルで、もっと露骨に鳥の声を扱って音楽作品にしました。メシアンは鳥たちを、ある種神聖なもの、優れた音楽家として崇拝していたようです。「芸術的な順位からいって、鳥類は我々の遊星上に存在するおそらく最大の音楽家です」とか、鳥のさえずりを大いに讃えていました。

⑤https://www.amazon.co.jp/メシアン-鳥のカタログ-鳥の小スケッチ-アウスタベ/より引用のメシアン「鳥のカタログ」

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   Messiaen, Olivier : Catalogue d'oiseaux

1.ベニアシガラス "Le chocard des alpes" 9分
2.コウライウグイス "Le loriot" 8分30秒
3.イソヒヨドリ "Le merle bleu" 13分   ←④-1.の写真参照
4. カオグロヒタキ "Le traquet stapazin" 16分30秒
5. モリフクロウ "La chouette hulotte" 7分30秒
6. モリヒバリ "L'alouette lulu" 7分30秒
7. ヨーロッパヨシキリ "La rousserolle effarvatte" 30分
8. ヒメコウテンシ "L'alouette calandrelle" 5分
9. ヨーロッパウグイス "La bouscarle" 11分
10. コシジロイソヒヨドリ "Le merle de roche" 18分30秒
11. ノスリ "La buse variable" 11分   ←④-2.の写真参照
12. クロサバクヒタキ "Le traquet rieur" 7分30秒
13. ダイシャクシギ "Le courlis cendré" 10分   ←④-3.の写真参照


この十三曲が第一巻〜第七巻に収められている構成です。タイトルとなっている鳥の名前は十三種ですが、なかに登場する鳥は七十七種類もいるそうです。そのうち日本で聞ける可能性のある鳥は、イソヒヨドリノスリダイシャクシギだけですが、これだけいれば十分だと思います。



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