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第808回 鵜の中のカワウ(4回目)

①https://publicdomainq.net/cormorant-bird-0010798/より引用のカワウ(体長約81㌢)

   ①の写真はカワウが潜水した後に、体温と翼をはじめとする羽を乾かすために甲羅干しをしているところです。カワウは『ウ』の仲間で、漢字表記すると「鵜」という漢字と別に「烏」があります。おやっと思われる方もいらっしゃると思いますが、そうなんです。『カラス』もこの「烏」を漢字表記のひとつとして使っています。またもうひとつの「鵜」も『カラス』のもうひとつの漢字表記の「鴉」と形がよく似ています。これは二種とも黒い身体で似通っているからだなんです。

②https://kotobank.jp/word/ウミウ-35145より引用の「鵜」の仲間

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   カワウの仲間は②のイラストのように、ウミウヒメウチシマウガラスの四種がいます。長良川の鵜飼の「ウ」はウミウです。しかし、私たちの間近に見られる「ウ」はカワウだと思います。いまはダムからの放流による水嵩の変化で、河口まで下って来ており、カワウウミウの境界線がなくなって来ました。もちろん河川だけではなく、湖や溜池などサカナが生息している水辺には集まってくると言った方が適切だと思います。その露出度故に「カラス」と間違えたのかも。

③https://note.com/hiho2351/n/n311d38c3b8c5より引用のカワウのつがい(左がオス、右がメス)

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   カワウを語る時には繁殖を語らずしてと思います。繁殖期は9月~7月で、日本に生息する「ウ」は日照時間が長くなったり、短くなったりすることで繁殖期が始まります。これはカワウ自体が日照時間に左右されない繁殖機能によるためです。これほど長い繁殖期間は「ウ」だけです。他の「ウ」と違い、樹上に営巣し、巣造りは「ウ」で唯一分業3オスが巣材運び、メスが組み立てる。また珍しいことに、抱卵するときは産座を作らず、卵を全蹼足(水掻き)の上で温めます。

④https://db3.bird-research.jp/news/201602-no4/より引用のカワウのコロニー                             ※コロニーとは野鳥の集団繁殖場

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   カワウを語る中で、繁殖期となると切り離せないのが、コロニーの話しです。いま④の写真はカワウだけのコロニーですが、コロニーではそのつど好き勝手に止まっているように見ええますが、個体により止まる場所が決まっています。繁殖期になると、メスは自分の止まり場を捨て、つがいの相手に選んだオスの止まり場に移り、つがいを形成します。この群れは数十羽から数千羽にまで及ぶこともあり、水辺に同じように生息するコサギやサギの仲間ともコロニーを形成します。

⑤https://note.com/hiho2351/n/n00829265f88bより引用のカワウの眼

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   もうひとつカワウを語るに忘れてはならないのが、潜水して魚を採餌することです。水鳥で身体を全て水中に潜水できるのはこのカワウを始めとした「ウ」と鳰ことカイツブリとその仲間、スズガモを始めとする海ガモだけです。人間は水中眼鏡をかけなければ、水中では物が良く見えませんが、水の屈折率と角膜の屈折率がほぼ同じで、角膜がレンズとして機能せず、強い遠視状態になります。カワウは人間の五倍程度の調整能力があり、陸上でも水中でもよく見ることができます。

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