#91 縦画面と横画面
写真・動画の撮影や視聴時には画面の向きを変えることがある。大体の場合は画面が横に長いことが多いだろう。テレビ画面は横長だから、ドラマや映画もそうなる。また、山や街並みなどの風景に対しても横長のことが基本的であろう。集合写真は必ずといっていいほど横長だ。一方で、縦長画面の方が有効なこともある。高い塔を撮影する場合には下から上まで映るように縦長で撮影した方がよいだろうし、モデルの方など人間の身体全体を撮影する場合には縦長にした方が一つのスクリーンに身体が丸々収まり、横長にした場合に生じる外端の余白がなくなり被写体がより大きく映し出される。
我々の身の回りにある機器は基本的に横画面が多い。テレビや掲示板、パソコンやゲーム機の画面がそうだ。一方で、スマホやタブレットは縦画面と横画面の両方が可能である。とはいえ、画像や映像を見るときは横画面の方が多い。ウイイレをする際は横画面にして両手でスマホを操作することがある。
携帯電話というのは日本ではショルダーフォンからガラケーへとつながり、そこからスマホというような流れだと思う。ショルダーフォンの受話器は固定電話と同じだ。固定電話の受話器は縦長である。口から話す声を拾うマイクと耳へと音を届けるスピーカーを合体させた結果、一人の口と耳に同時に接近させることができる縦長の受話器形状が合理的だということになったのだろう。人間の顔の中で口と耳が縦配置の関係にあるからこうなっているのだろう。
それがガラケーやスマホへと変わらず受け継がれている。縦長であることによって片手で操作することができるから携帯性が上がって便利にもなる。
ただ、音声のやりとりや携帯性という点で縦長であるのはよいが、画像や動画は横長のスクリーンが親しみやすいので、音声と動画、さらにはゲームを一つに詰めたスマホでは、基本は縦長で動画や画像で横長に変更できる柔軟性が要求されたのだろう。
しかしながら、最近ではTikTokによって、縦画面で動画や画像を視聴するケースが増えており横長が求められていない傾向に変化している気がする。私はTikTokを登録していないが、Youtubeの中におそらくTikTokから影響を受けたであろう縦画面のshort動画が流れてくるからその存在が気になりだした。
TikTokでは人メインに撮られているから、そこで適性があるのだろう。一方で、私的には動画を縦画面でみることが主流になることに違和感を持ったということも事実だ。
そもそも、動画や画像が横長であることが基本なのは、人間の特性を考えれば至って自然であると言える。人間の目は、人間以外もそうだが、横に二つ付いているから、実際に見えている世界は縦よりも横に広く続いているはずである。双眼鏡を利用するときなどはまさにそうである。
だから、画像や動画も横長にした方が、視界とリンクしてより広い範囲が見えていると感じることができるのだろう。たしかに縦長にすると少し圧迫感があり狭く見える気がする。
あと、この世界は重力が天井から地面に向かっているから、高さ方向の厚さがあまり存在しないのだと思う。建物もそうである。密度が高い地域に建てられる高層ビルは別として、建物が高いほど位置エネルギーの差が大きくなりその分移動が苦しくなるから、空間は高くするよりも横に広げていく方が理にかなっているのであろう。ショッピングモールやマンション、校舎などがそうである。プールやボウリング場、陸上トラックなどもそうである。
目が横に並ぶことと重力の方向によって我々は横長画面での写真や映像を好むのだという解釈を得ることができた。
こうしてみると、一個体の中での感覚器官の配置関係によって感覚の仕方が特徴づけられ、それに順応するように身の回りにある機器の基本的な形状が設計されていると考えると、この世の中はもっと考察のしがいがあると思った!!!!!(ビックリマークは縦長だから縦に文章を書く日本語よりも横に文章を書く英語の方が適性が高そう)
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