【ドラマ「大奥」感想】徳川家重の「二次障害」
「大奥」終わっちゃいましたね。でも、医療編・幕末編が秋に放映と聞き、予告に鈴木杏の平賀源内が出てテンションが上がってます。
さて、吉宗編です。
三浦透子の家重が原作のイメージどおりで、言語不自由から派生する苦悩をあますところなく表現していて、持っていかれました。
私、家重が今でいう「二次障害」だと感じてならないんですよ。
「二次障害」とは障害者がその障害自体だけでなく、それによって派生する事象によって苦しむことを指すんですが。
例えば、発達障害児が発達の遅れそのものではなく、それによって不登校やうつ、いじめなどが起こるのが「二次障害」になります。
(私はわが子が発達障害(自閉症スペクトラム)なので、この二次障害を防ぐべく、学校にいろいろお願いしたり、あちこち相談したりしてきたので、この観点からドラマを観ちゃっているところはあると思います)
家重は本来、頭のキレる女性ですが、言語不自由ゆえに周りとうまく意思疎通できない。
それで侍女たちにもつらく当たったり、酒色におぼれるようになる。
周囲は、吉宗の跡取りとして厳しいのでは・・・とささやく。
口の立つ妹と引き比べられ、ますますこじれる。
(満座で失禁してしまうシーンがあったけど、あれはメンタル的なものと解釈しています)
もし、家重の周りに今の時代の障害者支援のノウハウがあって、適切な支援を受けていたら。そう思わずにはいられませんでした。
(いえ、今の時代だって、障害者・障害児が適切な支援を受けられるとは全く限らないのが現状なんだけど)
本来の頭の良さ、皆のために役に立ちたいという家重の思いを知った吉宗は、後継者は家重と定めます。
でも、それでめでたしめでたし・・・とはいかない。
家重の指示を幕閣が聞き取れず、家重は政へのやる気を失っていきます。
こうして家重はまた酒色におぼれ、それをいさめた側室を牢に閉じ込める事件も起こします。
家重に筆談させてあげればいいのに…と思ったんですが、大御所として吉宗がいるので、幕閣も吉宗に相談できてしまうんですよね。
吉宗すら難儀する様々な課題に、家重は「勝ち筋が見えぬ」と呟きます(でも、吉宗だって勝ち筋など見えないまま逝去する)。
家重の一連のエピソードは、徹頭徹尾「二次障害」を描いたものであった。
秋に放映されるシーズン2に家重が出てくるかは分からないけど、今期の「大奥」についてはそう感じています。
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