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【情緒学級×読み聞かせ4】いちごは野菜だというお話

私が

「いちごやすいかなど畑でできる作物は野菜、りんごなど木になる作物が果物」

という園芸学の分類を知ったのは、社会人になってからでした。
その豆知識を絵本仕立てにしたのが、この「やさいのがっこう いちごちゃんはやさいなの」です。

自分を果物だと思っている双子のいちごちゃんは、釈然としないまま、野菜の学校に入学します。
果物の学校に転校しようとするのですが、木に登れなくて、野菜の学校に帰ることになります。
その時、果物の学校にいながら自分を野菜ではと思うアボカドくんに頼まれ、野菜の学校に一緒に向かいます。でも、アボカドくんは、野菜なら大好きなはずの畑でくしゃみが出て遊べない。

見た目や味ではなく、育つ場所で野菜か果物かが決まる。先生に
「たいせつなのは、おいしくそだつことですよ!やさいか?くだものか?なんて、きにしないことです。」
と言われ、腑に落ちたアボカドくんは、果物の学校に帰ります。いちごちゃんも、自分が野菜であることに納得し、おいしく育っていきます。

大きくなったいちごちゃんが八百屋のおじさんに迎えられたら、果物の棚に並べられ、そこにはアボカドくんもいた・・・というラスト。
育つ場所では「野菜」とされたいちごが、消費者視点で「果物」と分類されるのもまた、決して間違いではないのです。

読み聞かせの前、子どもたちに「いちごは果物だと思う人!」「野菜だと思う人!」と手を挙げてもらったら、半々でした。
中には、「木にできるのが果物!」と正解を言ってくれた高学年の子も。

さて、この話を読み聞かせた時、私の中では裏テーマがありました。
「野菜の学校であれ、果物の学校であれ、おいしく育つ場所を大事にしてほしい」という主題は、この子たちの境遇に通じるものがあると思ったのです。

読み聞かせる相手は、特別支援学級(情緒学級)の子どもたち。
入学時から情緒学級にいたお子さんもいれば、普通級や知的学級から移籍してきたお子さんもいる(このクラスに在籍する娘も、普通級からの移籍組)。
逆に、情緒学級にいたお子さんが普通級や知的学級に移るパターンもある。

どのクラスを選ぶのか迷う子どもも多いだけに、本人が健やかに、自分も周りも大事にできる環境に身を置ければいい。

口には出さなかったけど、そう思って選んだのですよ。

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