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【情緒学級×読み聞かせ5】絵本「窓ぎわのトットちゃん」

情緒学級は幅広い学年の児童が在籍しているので、読み聞かせは、なるべく低学年のお子さんも楽しめるような本を選んでいます。
・・・が、一度だけ例外が。それが、この絵本。

私の小学生時代、『窓ぎわのトットちゃん』の一節(「畠の先生」)が3年生の国語の教科書に載っていました。今は絵本版もあって、小3(当時)の娘も単行本を読み通すのは難しくても、数話だけなら楽しめていて。だけど、1年生には難しいかなあ…と感じたのも事実です。

そこを押してまで、この本を読み聞かせたのは、相手が情緒学級の子どもたちだったからに他なりません。
普通の学校で問題児扱いされ、1年生で退学になったトットちゃんの言動は、今なら発達障害ではと言われるだろうなと思います(実際、黒柳徹子さんご本人も自分は発達障害だと公言している)。

そして、トモエ学園に集まるいろんな子どもたちの描写もまた、情緒学級にいる子たちの豊かな個性を連想させるものがありました。

『窓ぎわのトットちゃん』で有名な(映画版の予告でも出てきた)エピソードが、校長先生に「君は、本当はいい子なんだよ」と言われ続ける話。
子ども時代のトットちゃんは素直に「自分はいい子なんだ」と受け取るけど、「よくないと思われているところがあるけど、君は本当はいい子なんだ」というのが校長先生の真意。
これこそ、まさに情緒学級の子どもたちの状況にも通じるものがある。

絵本と言えど、かなりのエピソード数が収録されているのですが、時間的に読み聞かせは3話が限界でした。
この「本当はいい子なんだよ」の話を軸にすると、

・普通の小学校では問題児扱いされて退学になったトットちゃんが
・トモエ学園の校長先生には話をしっかり聴いてもらって、自己肯定感を育めた

という要素を伝えたかったので、前の学校を退学になる話と、初めて校長先生に会った時の話を先に読み、「本当はいい子なんだよ」を最後にもってきました。

(本当はトモエ学園での生活とか友達(特に身体障害のある泰明ちゃん)との交流エピソードも捨てがたかったんですが、趣旨がぼけるので泣く泣く捨てた)

読み終わった後、先生に

「ちょっと貸して頂いていいですか?」

と言われて渡したら、目次をパラパラ見て

「これだけ話がある中、◯◯ちゃんのお母さん、君たちに伝えたいことが伝わるように、どの話を読むかすごく考えてくれたと思います」

と…。
この先生の洞察力(もちろん熱意も)、いつもながら尊敬しかないです。

そして、感想タイム。
予想どおり、高学年の児童が反応よかったです。
「トットちゃんが、机をバタバタ開け閉めするところが面白い」
とか、
「トットちゃん、僕に似ている」と発言した子もいました(そう思う理由も言ってくれた)。
「その本、全部読みたい!」
と言ってくれた子も(その子のお母さんの話だと、その週末に絵本を買いに行ったそうです)。

それぞれ何かを感じ取ってもらえたなら、それはすごく嬉しい。
私も「君たちは、本当はいい子なんだよ」と言い続けたい。

とはいえ、1年生にはやはり難しかったと思うので、次回は1年生に寄せて本選びしようとも思うのでした。

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