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11月後半のこと

起こったことを時系列で書ける気持ちではないし、日記を日々溜めすぎて記憶が薄れてきているので、今回はトピックスごとに。

文字に書き起こしていると、客観的にみれば本当によくあることなんだと思う。しかし主観的には受け入れがたいのである。ままならないなあ。

クリスマスのこと

最近目立ったイベントがなく、非日常への渇望が掻き立てられていたので、クリスマスの計画を立てることにした。東京で毎年行っているスペイン料理屋さんがあるので24日に予約して、25日は仕事帰りにケーキを買って帰ろう、と思っていたら、M-1グランプリが24日に放送されることを知り、夫とも相談していったん計画を撤回、24日に家ごはん、25日にスペイン料理店、というスケジュールに切り替える。
24日は敗者復活戦の放送開始までに家にいればいいので、仕事帰りに買う場合と違って、午前中に買いにいける距離であればどのケーキ屋さんでもクリスマスケーキを購入できる。ということで、東京のあらゆるケーキ屋さんを調べ尽くし、日暮里のイナムラショウゾウで購入することに。今年いちばんと言っていいほど熱中した漫画『A子さんの恋人』にも登場するケーキ屋さんで、今年の総括にふさわしいので。クリスマスのことを考えていたら日常の閉塞感が紛れるなあ、と、そのときは思っていたのでした。

異動のこと

イナムラショウゾウのクリスマスケーキは店頭かFAXでしか予約できないので、11月23日、勤労感謝の日の午前中に店頭予約をしてから、夫と伊東の温泉に出かけた。最近お互いに忙しかったので、ひさびさの旅行。ごはんも美味しかったし、星が綺麗でよいところだった。
翌朝、朝食をいただいてから部屋でメイクをしているときに、「はいはっとの異動先を聞いた」という連絡がきて、まったりした気持ちが一気に吹き飛ぶ。慣例よりもはやく内示が出そう、ということは聞いており、私自身も来週に異動の内示を受けることは知っていたのだけれど、異動先が予想もしない部署だったのだ。予想もしないというか、希望もしないというか、いまの仕事にまったく関係ないというか、わたしである必要が1ミリもないというか。負の感情で頭がいっぱいになり、夫に報告しながら勢いで「転職しようかな」と言ったら、「それもいいんじゃないの」と真顔で言われて、とりあえずその場で転職サービスに登録した。
日曜日の朝に転職エージェントと面談をして、いまの転職市場について話を聞く。26歳という年齢なら第二新卒枠も狙えますよ、と言われて、社内で強制的に押されたリセットボタンと、社外に自分から押しに行くリセットボタン、どっちがいいんだろうなあ、と漠然と考える。でも、異動に従う以外にもキャリアの選択肢があるということを認識できたのは大きな収穫だった。
月曜日の朝上司と面談。本当はここで内示を受けるはずだったけれど、冒頭に「もう聞いた?」と言われて、「聞きました」と応えた。全社的な方針が背景にある、という経緯を説明されて、会社というのはそういうものだから目の前の上司を恨んでも仕方がないし、上司はわたしを評価してくれていて、わたしの希望を叶えようとしてくださっていたことがわかった。結果的には希望は叶わなかったわけだけど、上司の言葉に嘘がないと思えたことで、気持ちの面ではかなり救われた。でも、救われたせいで誰のことも責められない。攻撃的な気持ちが宙に浮いてしまう。
その週は本当に仕事が手につかなかった。こんなときに限って会食が多くて毎日出社していたのだけれど、作業中に急に涙が出てきたり、今更目の前の業務を頑張ったところで何の意味もないじゃん、と捨て鉢になったり、そんな状態でずっと苦しかった。
そもそも総合職で入社してるんだからこんなのよくある話なのだけれど、そう思うには仕事にアイデンティティを傾けすぎていたのだなあと、この状況に陥ってはじめて気づく。仕事での努力や成果は、「給料が上がる」か、「希望の仕事をさせてもらえる」かでしか報われないと思うのだけれど、新卒からずっと時間も労力も注いできた結果がこれかよ、という不条理感から逃れられない。

「しょうがない」を受け止められない

1週間さんざんいろいろ考えたのだが、結局は避けようのない事態だったことがわかっただけだった。わたしって実は職場でぜんぜん評価されていなかったのでは?とうっすら背筋が寒くなったりもしたけど、ありがたいことにたぶんそういうわけではなくて、必ずしも「よい成績」が自分の幸せに結びつくわけではないメカニズムなのだ。だから、自分を責めても、まして上司や会社を責めても仕方ないことなのである。かなり仕事に心血を注いでいたし、結果も出していたはずだから、今回のこととこれまでの仕事の価値や評価を結びつけるのはやめよう、とだんだん思えてきた。
とはいえ、新卒入社してから自分の「やりたいこと」らしきものや、そのために必要なビジネススキルをやっと掴めたタイミングで、これまでのキャリアとほとんどつながらない場所に放り出されるのは正直かなり虚しい。そうやって生きていたら、どんどん自分の人生じゃなくなっていくような気がして怖い。会社には会社の理屈があるけれど、社員Aには社員Aの理屈と意思があるので、仕事は仕事と割り切って熱量を下げるのか、転職するのか、もっと他の道があるのか、時間をかけて探るしかない。少なくとも異動先での業務に平日をすべて捧げることはもうしない。わたしはそんなに健気な女ではない。有休も使うし平日に美容室だって入れてやる。
就職活動のときからキャリアについてもやもやと考えてきたけれど、目の前の仕事が楽しく、自分にとって意味のあるものだったので、直近2年間弱はとても前向きにやってこられた。そこで中長期的な「やりたいこと」も見つかって、そこに向かうための次の一手も見えていた。本来はそのこと自体が奇跡的な幸運だった、ということで、この機会にちゃんと自分の人生を見つめることとしたい。

就職して結婚して、もう自分の人生には当分ライフイベントがないな~と思い、戯れにクリスマスの計画などを立てていたら突然こんなことになるわけで、人生はままならない。ままならないなりに最善の選択をしていきたいので、とりあえずいろんな人の話を聞きにいこうと思っています。

書き散らかしてしまったけれど、12/4週からはふつうの日記に戻ります。
写真は異動を聞かされる前日、伊東の宿のお食事。これを食べているときはミステリ小説の感想を夫と語り合ったりして至極平穏な気分だったのにね。
今回の件で夫には本当に救われました。異動が希望通りにならなくて可哀想な人だと思われるのが辛い、とぐちぐち言っていたら、「はいはっとの自意識は人間味があるよね」と返されて笑ってしまった。

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