Apis. #1
かすかに聴こえる
夜の帳のような穏やかな音
懐かしい
だがその姿に近づけば近づくほど辺りが白く輝き、彼の人を臨むことができない
夜露に包まれる中、差し込む月光を浴びて蜂の姫は薄く目を開く。
毎度同じ風景だ。
知っているのに、どうしても思い出すことができない。夢を見る度に彼の人は現れて、そして転瞬消える。
不機嫌な顔のまま月を眺め、白狼の上で謳う。
すべてを月光のせいにして
いいなと思ったら応援しよう!
ヒグチヨハクです。小説「planktos」連載中。よろしくおねがいします。