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音楽制作業 OFFICE HIGUCHI 10周年までの道のり#29 〜再び、あのライブをやる時がきた・・・THE LIVE Vol.2〜

お世話になっております。代表の樋口太陽です。

自分たちが過去に手掛けたCM楽曲を、ライブハウス貸切で次々に演奏していくという自主イベント。OFFICE HIGUCHI THE LIVE。

再びこれを実行するのは、かなりしんどいことです。一度やったことがあるからわかるのですが、これは普通のライブよりも極めて周到な準備がいるイベント。楽器編成が一曲ごとにガラッと変わるので、スムーズな進行にするには当日をイメージした入念な事前リハーサルが必要だったり、変わった目的のイベントなので、ゲストミュージシャンの方にもしっかり趣旨の説明が必要です。

また、会場のキャパシティに限りがあって、どうしても皆にお声がけすることはできませんでした。一般客や友人は諦めて、お仕事関係の方に絞ったとしても人数の問題はあって「結婚式の披露宴に誰をお呼びするか」という悩みにも似た、泣く泣くの決断があります。Vol.1に来ていただけたのに、Vol.2でお声がけできなかった方、この場を借りて、申し訳ございませんでした。

そして、これは完全無料招待・飲み放題の自社負担イベントなので、演奏者のギャランティだけでなく場所代も飲み代など、全てをまかなうには、かなりのお金がかかります。それにも関わらず誰にも頼まれていないこのイベントの第二弾をやる理由がありました。

兄がいなくなった今でも新体制でなんとか会社を続けていて、このような一大イベントをやるパワーがあるということ。「僕たちは今も元気でやってます」というのをライブ演奏の姿を通して伝えたい、ということでした。

再び、村上タカノリくんにグラフィックをつくっていただきます。

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今回のお品書きはこんな感じ。全24曲。かなりの練習が必要です。


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今回、方針として決めていた事がありました。基本となるバンドメンバーだけの枠に収めず、限界までたくさんのゲストミュージシャンの力をお借りすること。それによってもちろん、事前のやりとりやリハーサルなど、さらに大変なことになりますが、前回に負けないよいライブにするために、妥協はできません。

いつもお世話になっている演奏者のみなさま、過去のお仕事で参加していただいたボーカリストのみなさまなど、方々にお声がけします。今回は、ホーン隊も加わる豪華編成です。

結果、このような表ができました。総勢25人の担当表です。

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曲によって担当楽器も細かく変わっていくので、全体を把握するのは表と照らし合わせないと大変です。

2018年10月10日、いよいよ当日を迎えました。ライブの一部をお見せします。こちらはホーンセクションも加わった豪華な編成の楽曲なのに、10秒ほどで終わる楽曲です。

椅子に立ち上がり雄叫びをあげるのは新メンバーのジェット宮田。上京してすぐ、カラオケのバイトで知り合った彼が、色々あってここで歌っています。
 
ドラムを叩いているのは、「オフィス樋口」という社名の名付け主となった中村皓さんです。(#0参照)


続きましてこちらは、NTTドコモ d menuの広告のための楽曲です。ライブならではの勢いあるパフォーマンスがとてもカッコよいです。

この一曲のためだけに駆けつけていただいたのは、双子ラップユニットのP.O.Pさん。ちなみにオリジナルはこちら。ライブverとの違いを比べてみてください。


この第二弾をやる上で、前回と違うマインドがありました。前回は業績回復のために、ある意味仕方なく開いたという経緯。しかし、そんな事情は抜きにしても、このイベントはだいぶ面白いということが、前回の経験でわかりました。
 
だから今回は、お客さんに楽しんでほしい、普段はなかなか見せれない演奏者たちの姿を見て欲しい、という純粋な気持ちがありました。

「お品書き」でも書いている内容の補足的なものを書くと、私たちの仕事はクリエイター的な側面もありますが、言ってしまえば「商用利用において問題ない」音源データをつくって納品する仕事です。それゆえに人によっては

「商用利用に問題ない音源データ届け屋さん」

という存在だけに捉えられることも、多々あります。

たまに歌や演奏の収録現場に立ち会っていただいて、音楽の魅力を肌で感じていただくこともありますが、実際にはまったく現場を見る機会がなく納品データだけが関係者に届くことがほとんど。たった数メガバイトの音データの中には、このような素晴らしい演奏者たちの熱のこもったプレイが繰り広げられているということが、少しでも伝われば嬉しいなと思いました。

そして今回は、なんとCOWCOWさんにゲスト出演していただき、振り付けこみで、生のあたりまえ体操を披露できました。


あたりまえ体操は、会社設立の年である2011年のお仕事。当時、まったくキャリアのなかった僕は、こう思っていました。

こんなにずっとたくさん曲つくってたら、あたりまえ体操みたいに老若男女がみんな知ってて口ずさめるような音楽の仕事が、たぶん年に一回ぐらい、定期的に訪れるんだろうな。

しかし、実際には会社を10年続けていても、ここまでの広がりを見せたものは他にありません。最初のラッキーパンチは、とんでもないほどのラッキーだったことに、やっと気がついてきたころでした。


さて、ついに最後の曲になりました。今まではMCなしでどんどん進めてきましたが、ここではじめて、自分がこのイベントを行うに至った経緯を話します。ライブに来ていただいた方の中には、このオフィス樋口が、もともと兄と僕と二人でつくった会社だということを知らない方もいますので、そこには触れなければならないという気持ちがありました。

協力していただいたゲストミュージシャンのみなさまのご紹介をします。たくさんの方がおりますが、一人一人に対してエピソードがあるので、少々長くなります。

次はいよいよ社内メンバーです。新井さんのことを紹介しようとする瞬間、自分の胸の中で、いままでの出来事が、一気に束となって押し寄せてきました。

兄と一緒に会社をつくったこと、いろんな出会いと別れがあったこと、それでも今、沢山の人が、目の前にいること。

大変な時期を支えてくれたメンバーである新井さんの顔を見た瞬間、ずっと無我夢中で駆け抜けてきた過去が壮大なフリとなって、自分の胸が決壊する引き金となりました。

そこから急に涙がこみあげて、恥ずかしながらその後は全然しゃべれなくなってしまいました。

なんとかメンバー紹介を終えて、いちばん最後に演奏したのは、2011年に会社を設立するほんの少し前に、中野のアパートで兄がつくった会社設立のきっかけとなった曲です。

前回のイベントでは兄が歌いましたが、今回は僕が歌いました。

こうして二度目の、OFFICE HIGUCHI THE LIVEは終わりました。このライブを行うことによって、金銭的な利益があったわけではありません。しかし、得られたものが確かにありました。

もっとも変化が起きたのは、自分の心に対して。たくさんの人に支えられて、なんとかいま生きているということが、この大仕事を終えて、やっとちゃんとわかったようなイベントでした。

ここには写っていない方も多いですが、打ち上げ終わりの集合写真です。


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これでもかというぐらい月並みで平凡で薄っぺらくも見える一言ですが、感謝と痛みを伴いつつ、こう思います。

この時、こうしてライブをできたのは、今まで関わってくださった全ての人と、全ての出来事のおかげです。


中村皓さん、清野雄翔さん、YAMA-Booさん、戎谷俊太さん、湯浅佳代子さん、三浦千明さん、いのうえあいさん、じんぼぼんじさん、P.O.Pの上鈴木兄弟さん、憲生さん、篠原佳名子さん、宇都宮直高さん、池松日佳瑠さん、COWCOWさん、NOBUさん、ナカムラさん、清水光一さん、ジェット宮田、杉山未紗さん、新井瑞季さん、山本"ぶち"真勇、樋口ちひろ。


デザインをしていただいた村上タカノリくん。
 
前回に引き続き、大変お世話になった、渋谷のライブハウス、gee-geのハグてっぺいさん。

そして、観に来てくださった全ての方へ、この場を借りて、ありがとうございました。


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