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音楽制作業 OFFICE HIGUCHI 10周年までの道のり#45 〜書き続けなければならなかった、理由。 GOOD MUSIC VS BAD MUSIC 果てしない執筆篇〜

お世話になっております。代表の樋口太陽です。

“音楽はとても大切である” このことを広く感じてもらうために、よい音楽と、わるい音楽を誰でも簡単に比較することができる実験の場を作るプロジェクト"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"という企画が始まりました。

今回は、果てしない執筆篇です。

2020年からの構想だったこのプロジェクト。当初の完成目標は、2021年の6月1日でした。なぜかというと、この日がオフィス樋口の10周年の日だったからです。うまく制作が進めば、10周年記念クリエイティブとして、6月1日にバーンと公開したいなと思って進めていました。

しかし、2021年5月の終わり。GOOD MUSICの録音は終わりましたが、映像、グラフィック、BAD MUSIC、コピーライティング、Webサイト制作・・・他のものが全然間に合っていません。

やばい、まだ出来てない・・・。でも、もうすぐ10周年の記念日。なんかやらなきゃ・・・。

今まで、この区切りの時期には、周年企画として何かしら行ってきました。

8周年の時には、タグラインを発表。

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9周年には、WebサイトのTOPの新ムービーを発表。

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サイトTOPの、オリジナリティあふれるムービーは、以前にお仕事をご一緒させていただき、その素晴らしいクリエイティビティに感銘を受けた彼ら。MULTRAさんに手がけていただきました。


ムービーが動いている様は、こちらから見れますので、ぜひご覧になってください。


さて、そんな僕たちが、このとても区切りのよい数字である10周年のタイミングで、なにもやらないわけにはいかない。制作中の"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"の公開は間に合わないけど、どうにかして、何かアウトプットできるものはないだろうか・・・。

そうだ! 10年を振り返るエピソード記事だ!

急いでガガガッと文章を書いて、noteにひとつの記事を投稿しました。それがこちらです。

この投稿は、思いのほか反応がありました。Facebookにも投稿したところ、ありがたいことに「続きを楽しみにしています!」という声も、多数いただきました。

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そこから何話か書きましたが、引き続き周りの方のウケもなかなかよく、書くこと自体が楽しくなってきました。そして、あるアイデアを思いつきました。

今、つくっている"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"のお披露目を、この連載の最後として、つなげよう!

このコンテンツはきっと、とある日にポンと公開しても意図を伝えきれない気がします。ちゃんと知っていただくには、今まで僕がどんな事を経験し、何を感じて、その上で何のためにこれに取り組むのか・・・というプロセスを綴ることが大事だと思いました。

この10年間の出来事を綴った記事と、10周年記念クリエイティブである"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"を合わせて、会社10年の歴史の集大成と言えるものにしよう。うん、なかなかいい作戦かもしれないな、と思いました。

しかし、文章を書くことはちゃんと人に習ったこともなく、プロでもなんでもない僕。学生の時に、まぁ作文は得意な方だった・・・ぐらいです。

ひとつの話を書くのも、なかなか大変です。ウソを書くことはないように、当時のメールや、自分のSNS投稿などを振り返りつつ、間違った情報がないかチェックしつつ、一話一話、丁寧に書いていきます。※いちおう補足しておくと、この連載のすべての文章は、僕の目線だけのものなので、基本的には登場人物に取材などは行っておりません。もしも事実と異なるような事にお気づきの方がいれば、ご連絡ください。

#0から #3まで書いたところで、冷静に考えます。

これ、全部書くと、あと何話になるんだろう・・・。

連載全体の設計をするため、今からどういうエピソードを書けば10年間を網羅できるか、時系列でざっくりと数えてみました。これがその時のメモです。※公開できないところは部分的にモザイクをかけています。

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やべぇ。
めちゃくちゃかかるやん、これ。


"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"の制作エピソードの最終段階までとなると、だいたい40話を超えることが、わかりました。しかし、やると決めたならば、取り掛かるしかありません。

今回つくっているものは、音楽だけでなく、Webの技術、映像、グラフィックなどが組み合わさった複合的なコンテンツですが、全体の進行の中で、「連載」というものを組み込むとして、どのくらいのペースで書けばいいのだろう。ぶちに、ざっくりの全体スケジュール表をつくってもらいました。二日〜三日ごとに公開していったとして、このまま進めていけば・・・10月1日には、きっと終わるだろうというスケジュールです。

でも。

通常の音楽制作の業務に追われていながら、執筆も行う。それは予想を超えた重たい仕事でした。スポンサーがいるわけではないので締め切りなどのプレッシャーはないとはいえ、いちおう歴史を綴るものだし、業界の話に踏み込んだ内容もあるだけに、適当な事は書けません。沢山の登場人物が出てくるので、下手な表現をすると傷つけてしまう人もいるかもしれない。

そして、ただ起こったことを綴っていけばよいというわけではなく、音楽関係の人にしか響かないものには絶対にしたくなかったので、普遍的な話に落とし込めているかも気をつける必要があります。これから自分で事業を始める人などにとっても有益なものを目指したかったので、ついつい情報量も多くなりつつ・・・話がとっちらかってしまった場合は、一部をバッサリと削ることも。

当時の資料を探し集め、一度ざっくり書いて、何度も何度も見直し、下手な事を書いていないか、おもしろく書けているかをチェックし、とことんブラッシュアップをして、やっと公開する。

それは思ったより、時間がかかる仕事でした。

連載はなかなか進まず、このままでは、当初のスケジュールは全く実現できません。なんと、6月からスタートして7月いっぱいで書けた記事は、#6まで。ぶちのつくってくれたスケジュールだと、#15まで書けている予定だったのに・・・大幅に遅れています。どうしよう・・・。

そのころ、個人的なライフイベントがありました。第二子である、娘の誕生です。

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めでたいことですが、赤子を迎えて、さらに生活が忙しくなることは目に見えています。ちなみに里帰りする予定もなかったので、自分がちゃんと育児に参加しないと家庭内も厳しい状況でした。

まじで、どうしよう。

この出産の前に、妻と作戦会議をしました。このままのペースだと、連載が全然終わらない。連載が終わらないと、"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"を、いつまでも公開することができない。

これだけ情熱も時間もお金も、全てを注ぎ込んだプロジェクトなのに・・・。油断をしていたら、世界の誰かが偶然、似たコンテンツを思いついて、形にしてしまう危険だってあります。うかうかできません。その時、とあるワードを思い出しました。

「育休」です。

この頃、男性が「育休をとる」という事が、世間的に認知され始めたことを肌で感じていました。※ちなみに2016年に第一子が産まれた時には自分が育休をとるという発想を思いつくことさえ、できませんでした。

育休をとることを宣言して、執筆に専念する。"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"を公開し、全てが終わったら元どおり仕事に復帰する、という計画です。

育休をとるということはイコール、新規のお仕事のご依頼を断る、という事になります。関係の深い方からのお話でも、固い決心のもと泣く泣くお断りすることに。しかし、いざ話が来てからお断りするのも申し訳ないので、その旨をSNSで表明しておかなければならない、と思いました。

自分のようなクリエイティブの業種では、お仕事の依頼をいただく方とは、だいたいFacebookで繋がっているものです。Facebookに書くだけで、告知としては事足りるかなと考え、こういった投稿をしました。

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この投稿を、Facebookにて行いました。やはり時代の後押しのおかげか、男性でいて、しかもこの少人数の会社の経営者である自分が、4ヶ月という長めの育休を宣言したことは、周りの皆様に好意的に受け止められました。

「音楽の仕事はストップしますが、執筆活動に専念します」なんて、この時とても言えるものではありません。

三人しかいない会社で、僕が担当する新規の仕事が4ヶ月まるまる無くなることになるので、売り上げは大幅に下がることが予想されます。復帰したとしても、仕事が戻ってくる保証もありません。自分が経営者なので、育休した分の金額の保証なども、もちろんされません。

かなりの勇気が必要ですが、いろいろ考えた結果、人生で数回しか使えない、究極のカード・・・「育休」を使う他、この連載をまっとうする手段は他にありませんでした。すべてを、執筆に注ごう。

「それだったら育休じゃなくて、執筆休じゃん!この育メン気取りが!!」

という声が聞こえてきそうなのでいちおう補足しておくと、執筆をしながら、ちゃんと育児にも力は注いでいました。ノートPCでの執筆という行為は、育休中にはかなり取り組みやすい行為で、抱っこ紐をして赤ん坊を抱えながら立ってキッチンのカウンターで執筆するのは、とても快適な執筆タイムでした。夜中に執筆しつつ、泣いたタイミングでミルクをあげる生活サイクルにもマッチしていました。執筆に育児に大忙しの4ヶ月はあっという間に過ぎ、育休明け予定の11月末になりましたが・・・この時点で、#25までしか、書けていません。

全然、間に合いませんでした。
なんと育休、延長です。

ほんとうは12月に、仕事復帰宣言をしてカムバックする予定でしたが、連載が終わっていないので、このままでは復帰できません。復帰してしまうと、とたんに連載が滞り、また"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"の公開が遅れてしまいます。

毎日、毎日、書いては書いて、アップしていきます。そんな中、ひとつの誤算がありました。周りの方からの反応が、だんだんと薄くなっていくことです。おそらく、最初のエピソードを公開した時には、こんなに長く続くとは思っていなかったのではないか、ずっと長々と書いている日記のように捉えられてしまったのではないか・・・と予想しています。

最初から全体の設計図が見えている自分の中では、右肩上がりでどんどん内容が面白くなっていく自信がありました。だから、時間が経つにつれ右肩上がりに連載が注目されていくはずだと思っていました。しかし、続けば続くほど、反応は、薄くなっていく・・・。継続した読者は、どんどん少なくなっていきました。

つくづく、人生難しいぃ。

執筆も大変だし、エピソードを減らすことも考えました。仮に全部で10回ぐらいで完結すると、飽きずに読んでもらえるでしょう。

しかし、最初に書き始めた解像度でエピソードを掘っていくと、そのぐらいのボリュームではまったく足りないことは目に見えていました。エピソードに登場してもらって感謝を述べなければならない人物が多過ぎたし、語らなければならない、いくつもの事件と、その時々の気持ち。書かなければならないことだらけでした。(これでも、かなりバッサリとエピソードを削っています)

ここまできたら、この10年の全てを読んでいただかなければ、"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"というコンテンツの制作意図が伝わらない。連載のクオリティが足りない状態で公開すると、ものすごくもったいないことになる・・・。どんなに時間がかかったとしても、この連載だけはどのエピソードもクオリティを落とさずにやりきる覚悟でした。

しかし、書いても書いても、ゴールは遠く。"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"の制作エピソードまで到達するのは、遠く遠くの先の話です。

なるべく早く書こうとしても、限界がありました。12月にも終わりは迎えることはできず、年末の時点で、やっと#35・・・。

このままでは、ずっと育休をとり続けなければなりません。

大晦日も執筆。元旦も執筆。育休というワードにあやかって、せっかくだからゆっくりしたいなという気持ちもありましたが、なんと人生で最もハードな年末年始になってしまいました。※結果、8月からの育休は、1月まで・・・半年間も続いてしまいました。

このころから、急速にペースを上げて書く能力がつきました。アドレナリンが出ているので、常に頭は興奮状態。ずっと連載のことを考えています。夜は頭が熱く寝る気にもならず、酒を飲み続けてひたすら執筆し、朝起きた瞬間に文章のブラッシュアップ点が見つかって、すぐさま書く。

家族で外に出かけた時にも、自分だけカフェに行って執筆。風呂の中でもスマホで執筆。まさに執筆漬けの日々。早く全てを終えて楽になりたいのに、なかなかゴールに辿り着けないストレスから、精神的に不安定になることもあり、妻と喧嘩をしてしまうことも増えてしまいました。

身を削って執筆をして、たまに音楽ソフトを立ち上げれば、ひたすらわるい音楽を目指してBAD MUSICを作る日々。


おれ、何やってんだ・・・!?


音楽制作の仕事をストップして約半年間の売上を捨て、ものすごく大きなお金を使って誰にも頼まれていないコンテンツを制作し、ものすごい時間をかけてひたすら執筆。ここだけ切り取れば、まるで世捨て人のような行動です。なぜ、そこまでして実行しなければならないと思っているか、改めて書きます。

このコンテンツをつくること。そして、なぜ自分がやらなければならなかったのかを事細かに語ること。

それは、広告業界、音楽業界のみならず、世の中全ての業種のためになり、自分の会社の未来、自分の人生、それらをまとめて、少しでもよい方向へ導いてくれる種になると、僕は信じているからです。

未来のために粛々とコンテンツ制作と執筆を進めてきました。

そのすべては、この連載を無事に終えて、"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"を公開するため。ただいま#45ですが、今までに書いた全ての文字を合わせると、20万字を超えました。そのすべてが、最後にここに辿り着くための制作秘話と言えるものです。しかし、その連載の日々も、やっと終わりが見えてきました。

次回、"GOOD MUSIC VS BAD MUSIC"を公開します。

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