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東京⇔長野の村の二拠点生活からの・・・長野定住に至るまで #1 〜きっかけ編〜

お世話になっております。音楽制作業 OFFICE HIGUCHI 代表の樋口太陽です。プライベートな話ではありますが、お仕事に関わる内容も多いので、報告としてここに記します。

2017年から5年間半、東京と長野の村の二拠点生活をしてきましたが、このたび2023年春に、長野に本格的に定住することになりました。住まいの拠点としては長野県諏訪郡原村という、八ヶ岳の標高1350mほどの寒冷地に住むことになりますが、新宿区四ツ谷にあるオフィスは引き続き仕事の拠点としてキープしますので、今までと変わらず東京の仕事をやっていく予定です。

お仕事はオンライン打ち合わせを基本にしつつも、都内の現場で対面で会うことも活発にやっていきたいと考えておりますので、これからもどうぞヨロシクです!

・・・とだけ書いて終わることもできますが、最近、僕と同じように二拠点生活や地方移住を考えている方が多いと聞きます。

そんな方のために、何かすこしでも参考になればよいなという思いもあって、自分の経験談を元に、二拠点生活や地方移住のリアルな詳細レポートを書きたいと思います。長文になりそうなニオイがプンプンしますが、興味のある方はぜひお付き合いください。

きっかけ 〜別荘という響き、ウケる〜


二拠点生活を始めた最初のきっかけは、2016年の夏。妻と群馬県草津にて旅行中のことでした。草津は標高約1200m。夏にクーラーなしでも、室内には涼しい風が通り抜けます。

やはり標高が高いところは涼しくて気持ちいいなぁ。夏も涼しく過ごせる別荘っていいなぁ。っていうか、「別荘」っていう響き、ウケるなぁ。

頭によぎったのは、ドラえもんの漫画の中で登場する「スネ夫の別荘」です。僕はそれまで身の周りに別荘を持っている方に巡り合ったことはなく、僕の中で別荘持ちの人物というのは骨川スネ夫以外にいませんでした。

スネ夫のように「うちの別荘がさぁ」と友達に言えると、きっとウケるだろうなぁ。そう思った僕たちは、草津の旅館の室内にて遊び半分で「別荘 中古」などのワードで検索を始めました。すると、出てくる出てくる。土地と建物付きで500万円・・・これ、不可能ではないのではないか。別荘という言葉の響きの面白さだけで、事は進み始めました。

どの地を選ぶか。


そのままのノリで僕たちは、冷やかし半分で土地を探し始めました。東京から行ける範囲の場所と言っても、選択肢はたくさんあります。鎌倉などの海もあるし、千葉や埼玉の山などもある。広い選択肢の中、僕たちがイメージしていたのは夏でも涼しい標高の高い土地。この条件だけで、だいぶ絞られます。まずピンときたのは長野県の原村というところです。ここには以前、「星空の映画祭」というイベントで遊びに行ったことがありました。

ここは標高が1000mを越える高原地帯。真夏の夜でも少し寒いぐらいに涼しくて心地よく、しっかりした運営で飲食もおいしく、スクリーンもしっかりしていて野外でも映画に没頭できる環境が整えられた素晴らしいイベントでした。このイベントのおかげで、原村ってとってもいいところだというイメージが刷り込まれていました。

とある週末、冷やかし半分の視察がてら原村へ。やはりとても気持ちよい雰囲気のところです。

ふらっと入った案内所で、チラシを見ました。いろんな物件の情報があり、ここの地を手に入れるという夢が膨らみました。

帰宅後、「二拠点生活 原村」などでWeb検索すると、原村で実際に二拠点生活をした後、その後原村に定住した経験のある友枝康二郎さんが書かれた著書「週末移住からはじめよう」を見つけ、すぐに購入しました。本を読むと、本当に興味深い内容で、原村の事が頭から離れない日々。すぐに筆者の友枝さんに連絡をとり、直接お話を聞きに行くことになりました。

土地が、あった!


実際にこの土地に住んでいる方のお話を聞くと、原村がとてもよいところだという予想が確信に変わっていきます。人口は8000人しかいないが、コンビニもいくつかある。スーパーもある。小学校も中学校もある。高速のインターからのアクセスもよいし、車で40分ほどの距離に空港まであります。そして僕たちの必須条件である、夏涼しいという点をクリアしていました。なにしろ、お話を聞いている8月の日中、クーラーをかけていないのにとても心地よい気候なのです。

話を聞けば聞くほど、魅力的です。では、いま買うことのできる土地はありますか?と聞くと、買える土地があるので行ってみましょう、と連れていっていただきました。

えっ、今から土地見れるの!?

テンションぶちあがりです。着いた土地は、ここでした。

うん、よくわかんないです。

うっそうと生える木の元にシダ植物が繁る、まるでジュラシックパークみたいな印象のところ。気になるお値段は1坪あたり1万円を切る、破格の値段でした。土地の広さは270坪で、気になるお値段は・・・220万円。

220万円・・・大きな金額ではあるけれど・・・安い!

友枝さんいわく「伐採したら、すごいいい土地ですよ!」とのこと。あまり想像できないですが、とにかく面白いことになってきました。

帰りの車の中、妻と話すのは、もはや土地を買うかどうかという話ではなく、お金の工面をどうするかという話題に切り替わっていました。ここまで来たら、今日見たあの土地が絶対に欲しい。もう土地を買うことについては迷いはありませんが、当時の僕らには貯金などまったくとよいほどなかったのです。手持ちの現金をかきあつめ、ヤフオクで楽器や服を売り・・・なんとか220万円を工面して無事に土地が買えました。

伐採すると、家を建てたくなる。


土地を手に入れたあと、どうするか。まぁ、家を建てなくても、土地があればキャンプしたりできるだろうから、それだけでもいいやと思っていました。とはいえ買ったきりの状態で放置しておくのも我慢ならないので、まずは、長く伸びた針葉樹を伐採していただきます。伐採の費用にも数十万円はかかりますが、とりあえずここまではやっておかないと。

すっきり伐採完了です。ここまでくると、いよいよ家を建てるイメージが湧いてきます。その頃から、建築に関する本を読んだり、渡辺篤史の建もの探訪 を見まくったり、どんどん家づくりに興味が沸いてきます。もうこの欲望を止められない!!!

雪が積もった冬は、とてもきれいです。

引き続き、まったく貯金はありませんでしたが、さっそく家を建てる決心が固まってきました。二拠点生活だから、1千万円程度の低予算で、小屋のような小さな家を建てるという手もあります。しかし、せっかくの広い土地。建てるならば妥協のない家にしようと、気持ちの赴くままにプランを進めていった結果、予算は膨れ上がり・・・4千万円弱の建物になってしまいました。

まぁお金は、きっとローンでなんとかなるだろう・・・という楽観的な目論見で建築デザインを進め、2017年の春までに、家を建てる具体的な打ち合わせを重ねていきました。

ここに家を建てる!

ついに、建築プランが固まり、着工が始まりました。


寒冷地なので凍結深度の問題で基礎がゴツいです。

ここまできたら、もう後には引けません。

建築はあっという間に進みます。勢いだけで突き進んできた結果、家はあれよあれよと形になってきました。当時の僕は本当に何も恐れを知らず、本当に必要かどうかの確証もない別荘の30年ローンの契約を進め、2017年末にはついに家が完成してしまいました。

そこから僕は5年間半にわたって東京と長野の二拠点生活を過ごすことになります。次回、実際に経験したメリット・デメリットやランニングコスト、その他もろもろ二拠点生活のリアルについて書きます。

つづく





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