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【詩】フルッタと朝

夏の終わりかけている朝
猫のように伸びをして
彼女は冷蔵庫をあける
林檎柄をしたフルッタのコップに
レモンウォーターを注いで
氷をみっつ落とせば
静かな朝が満たされていく
光が透き通って白い肌に触れ
林檎の模様が刻まれる
クローゼットを開いて
薄手のシャツに袖をとおす
コスモスが咲き始める季節
狭間で星は輝いている
幸せは日常の中で気づくもの
ホットサンドの焼き目とか
ラジオから流れるショパンのように
自然で心地よいもの
水滴に湾曲した天使が映り
やがて指先で溶けていく
町の教会の鐘が鳴ると
近所の幼稚園から
児童たちの笑い声が聞こえる
あの頃みたいに泣くことは
できなくなったけれど
透明な唇が夢を知っている
必要なものだけで暮らしていこう

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