【詩】冷たい夏
潰れた瞳で抱きしめた
愛の熱で火傷してもよかった
雨が降っても傘をささない
終電を逃したら家まで歩けばいいと
今まで拾った捨て猫の数を思い出しながら
光の向こう側に飛ばした矢が
地球を一周して自分の背中に刺さった
振り返ったら太陽が眩しかった
そっちが朝だって初めて気づいたんだ
強い洗剤で傷を洗うから
血はいつまでも止まらなかった
摩耗した神経に記憶が宿っているから
古い灯台を目指して
恐竜時代の雪が流氷と溶ける
林檎の花びらを踏みながら
プールまで歩いたけど水は凍っていた
その上で虫たちがスケートしていた
こんなに冷たい夏は何年ぶりだろうか
約束の地まではまだ遠く
昔、家族と食べた中華屋の
冬瓜のスープの味を覚えている
白鳥になり損ねた
優しさが優しかった頃の
寂しさが寂しかった頃の話
車のエンジンが温まるまでは
手を握っていてほしい
汚れた星空が子供を産んだ
それが僕であり、君なのかもしれない
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