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【詩】美しい夏の思い出

大切なものが次から次へと
泡に溶けてゆくような寂しさに
目を瞑って気持ちの紐をほどく
雨が絡まってアンサンブル
女の子はみんな人魚姫で
男の子はみんなピーターパンだけど
軽薄な太陽の下で
秘密はどんどん明白になり
今ではハイヒールを履いたり嘘をついて
満員電車に揺られなきゃいけない
恐竜博物館の前のベンチ
セミの鳴き声、梅おにぎりの美味しさ
自分よりも背丈の高い向日葵
氷で薄まったカルピス
絵本のフレデリックを読みながら
扇風機はノスタルジック
クーラーはセンチメンタル
手を伸ばした光は夢の中
明日も明後日も何の予定もない
夏休みを思い出しても
美しい約束は思い出せない
そっと泡になっちゃったのさ
さよならも告げないで

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