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【詩】逃亡劇のスワン

シャンディガフに沈んだ星屑
成分表のラベルを剥いで
唇だけで愛し合う恋人たち
聖なる光の下で
アダムでもイヴでもない
いつの間にか逃亡者だった
トランペットの中で溶ける睡眠薬
後部座席に転がった札束
町の灯り一つ一つに暮らしの形
人が愛し合う以前に
林檎にも罪はあったのさ
罰だけが雨のように降り注ぎ
緑の車がワイパーを揺らして
夏が重さを増してゆく
ノイズだらけのラジオを消したあと
普遍的な夜を傾けて
カップラーメンに湯を注ぐ
論理が女を健康にして
哲学が男を駄目にした
透明の義務と主義に縛られる
神様に口移しで
ウイスキーを飲ませる
琥珀色の憎しみが広がる
世界はあまりにひどいから
逃げなきゃいけないときもある
音楽がまだなかった時代にも
きっと歌手がいたのだ

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