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【詩】誰もいなくなった町

バレエシューズで瓦礫の上を歩く
天使は鼻歌を口ずさんで
風のようにしなやかに
野花の頭を優しく撫でる
人間のいなくなった町は平和
平和なんて言葉は人間が
言い訳のように勝手に作っただけ
人のいない海は神様だったし
転がる石にも瞬く星にも名前はなかった
国境線は関係ない
差別なんてない世界で
川のせせらぎや、森の葉擦れの歌
それ以外は雑音だった
好きに人参を食べれた
畑を荒らしたなんて怒られなかった
馬は疲れ果てるまで走り続けた
太陽が沈んでも走りたかったから
愛情や、幸せ、ただの言葉なんだ
この地球から見たら
総理大臣も毛虫も同じ大きさの命
生きるということって
殺すことなんだろうか
天使の足の裏は傷だらけだ
放射能で歪んだ花が泣いている
海も侵されて死んだ魚が浮かんでいる
狂牛病が流行れば大量虐殺
もう手遅れなのかな
壊したものは元に戻らない

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