【詩】森のレストラン

くらげだらけの海を
テトラポットに立って見ている
少女の焦点は濁っていて
尖った唇はほんのり赤く
祈るように手を重ね合わせてる
綺麗な首飾りが揺れて
神様はどこにもいないのに
裸になれば
宇宙はどこかに存在すると感じる
片足の犬のような気分で
雨の中を踊りまわる少年は
マフラーを3本首に巻いていて
戦争を経験したことがない
靴下までずぶ濡れだけど
真実だけがすべてじゃないさ
森の中のレストランで
ランプシェードを挟んで
少年と少女は向かい合っている
前菜からドルチェまで
一言もしゃべらなかったけど
遠くから見れば水彩画みたいで
心は通じ合っていた
食後の珈琲には
ミルクと砂糖をたっぷり入れる
それでもちょっと苦いと少年は思う
少女はブラックで飲んでる
人生は短いから
時間をゆっくり楽しめることは少ない
空で生まれたものは空に帰る
最後の一滴まで
命をしぼって生きよう

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