【詩】不眠症
不眠症の眠り姫は
タンポポの根で作った
象も倒れる睡眠薬を飲んで
ぼんやり窓の外の雨を見ている
灯りがふっと消えて
それから12日間眠り続けた
花のベッドに縛られて
栄養は点滴で
物語を放棄したのか
王子様のキスでも起きなかった
妖精に囲まれて
どんな夢を見ているんだろう
すうすう息をして
寝顔は天使のようだ
目を覚ましたのは火曜の朝
誰もいなかった
雨が降っていた
夜の匂いを残した
藍色の浴槽に浸かって
ほっぺたをピンク色に染める
板チョコレートにかじりつく
鏡に映った自分が
誰なのかわからなくて
世界にも見覚えがなかった
ゆっくり瞬きをする
眠りという魔法で凍った心には
始まりも終わりもない
甘い唇だけが実感だった
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