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【詩】ラッキーストライク

僕は煙草を吸ったことはないけど
銘柄によって香りが違うから
それぞれに思い出す顔がある
ショートホープなら高校の先輩だ
体育館の裏で、野球場のベンチで
セブンスターなら父親だ
台所の換気扇で、小さな縁側で
確かジミヘンはマールボロを吸っていた
バンドの楽屋で借金を数えながら
僕はミントの飴を舐めている
多分、天国にも喫煙所はあるだろう
誰にも息抜きは必要なのだ
曲が書けなくて、小説が書けなくて
ため息の代わりに一本
言い訳の代わりにもう一本
名画座の椅子に深く埋もれて
指の間で灰になる時を見つめてた
そこに人生を重ね合わせてみたりして
「ラッキーストライクは原爆のマークだから
これを吸ってる俺は非国民ってわけ」
そんな戯言を言っていた奴も
今では赤ん坊の為に禁煙している

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