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凪に溺れる/青羽悠

「俺は劇的な何かなんていらない。今が幸せだよ。」(p.19)
「大切な事は繰り返さなきゃ。何度も。何度でも。忘れてしまわないように、負けてしまわないように、ちゃんと貫けるように。」(p.67)
「この一瞬だって同じように美しい。もう二度と訪れない一瞬なのだから。」(p.100)
「何かを得るためには何かを失わなければならない。しかし、得るものと失うものの総量には釣り合いが取れるのだろうか。」(p.154)
「俺たちは誰かと繋がってしまうし、誰かから得体の知れない影響を受けてしまう。自分は自分で人は人だ。テメエのことはテメエで決めればいい。……そのはずなのに、気付けば自分はさ、大きな繋がりの中で揺れる波の一部になってるんだ。後から整理すれば、自分の行動が自分の意志じゃなかったみたいに思える。」(p.212)
「大きな流れの中で、誰もが何かを諦める。それを大人になるとか言い換えて、のうのうと生きている。そんなもんだ。」(p.241)
「自分は諦めたことを誇りたくない。一生、生傷として抱えていたいのだ。納得なんかしてたまるか。この痛みを痛みとして引き受けられないのなら、本当にくだらない人間になってしまう。」(p.241)
「記録を残すことの大切さに気付いたのは最近で、それは大抵、後悔を伴って気付かされるものなのだと知った。」(p.272)
「不安定な生活の中、常に戦っているような気分になる。どうして戦わなければいけないのか、何故こんな選択をしてしまったのか。あのとき感じた流れを見失い、凪いだ水面で、じたばたと藻掻いている。自分は何を信じたのだろうか。」(p.276)

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