日常短編シリーズ:隣のあんちゅわん

※この記事ははてなブログにて、2020年5月2日に投稿した記事の再掲です。


これはフィクションであり、ノンフィクションの話でもある。

新型ウィルスの感染拡大の影響により、家にいる事が多くなった。

僕がしている仕事は自粛の対象ではないため出勤は以前とさほど変わらずしているが、バンドの練習やライブができないためその分時間が空く。

こうなってみるとそれだけでも相当自由な時間が現れてくる事がわかった。家にいる事が多くなると今まであまり意識する必要がなかった問題も浮上してくる。隣の部屋の生活音が意外と気になるのだ。

別に小さな音まで全部聞こえるわけではない。僕が1番気になるのはたまに聴こえるテレビの音で、その時かなりの確率で鳴り響いてくるのが福山雅治のライブ映像らしき音なのだ。恐らく壁にひっつけてテレビを設置しているのかもしれないが、そこそこの音量であの癖のある歌声が聴こえてくる。

僕は別に福山雅治が好きでも嫌いでもない。でもここまで聞こえるといくらたまにでもちょっときつい。ただそれだけでなく、なぜか笑えてしまう。

実は隣からたまに福山雅治が聞こえる事は以前からあって、聴こえてくるたびに(またか‥)と考えていた。

初めて福山雅治が隣から聞こえてきたのはたしか何年も前であるため、きっと隣人は生粋のましゃファンであり、ましゃロスを乗り越えた強者である事も確かだろう。(ちなみに隣人の性別は男性のようだが。)

何かを真っ直ぐに愛する事は素敵な事だし、一向に構わないが、誰かに迷惑をかけてしまった時点で全く素敵ではなくなる。隣人にまで愛を漏らさないでほしい。

この際福山雅治の曲を聞こえるように弾き語ったらどうなるのだろう。正直どうなるか興味があるが想像に留めておく。

外出自粛が長引きそうな事を考えると、隣のあんちゅわんとの戦いはまだ始まったばかりなのかもしれない。



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