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漫画術的Save The Catの法則!

2020年現在において脚本術といえば!Save The Cat!と言ってもいいほどなのは間違いない。

「ストーリの作り方教えて」ってなった時に、もしもこれまで脚本術的な書籍を買った事がないのなら、一冊目にこれを勧めておけば大体OK。

しかし問題は、「Save the catの法則」はハリウッドの映画の脚本術なので、これをマンガ向けに応用しようとなると少し頭をコネコネする必要がある。

Save The Catはシリーズで三冊出版されているが、自分は一冊目の第一章にでてくる「それってどんな映画なの」の中の「ログライン」が一番大切だと見ている。本編の中でも言われているように、ログラインの良し悪しは一瞬のチャンスを掴み取れるかどうかに直結する。これは漫画業界でも同じだ。最初の一歩…つまり編集者から「じゃあこのプロットとキャラデザでネーム描いてみて」となるかどうかの瀬戸際をクリアしないと、無名作家に連載の機会は訪れない。

そこで自分なりに「それってどんな漫画なの?」という一言…Save The Catで言うところのログライン(ワンライン)の概念を映画脚本術から漫画術への変換を試みた。

もう一度いうが、ログラインの概念はとても優秀である。特に「読者反応が良ければ連載する事もありえる」的な読み切り作品を編集者に見せる時には非常に有効だ。

タイトル(仮)、キャラデザ、ログライン、あらすじ(ネタバレ込みで物語の結末までをざっと書く)、あらすじだけだと伝わらない作中要素を幾つか絞って追加説明、最後に類似作品または参考作品…上記のうち、文字情報が1枚のA4用紙にまとまると編集者に見せるにはとてもよい提案書になるだろう。

ログラインは4つの要素を網羅するべきだとブレイク・スナイダー氏は語っているが、一番最後の「パンチの効いたタイトル」だけは漫画においてはあまり意味がない。タイトルを考える事に労力を割くのはやめて、なろう的な、あるいはちょっと前に流行ったラノベの長いタイトル風のタイトルをペタっとテキストファイルに貼り付けてしまう方がよい。

残りの3つの要素を順番に見ていこう

⚫要素その壱:皮肉

皮肉…これは英語圏ならではの言葉使いだと思う。日本の漫画的に言うと「掴み」、「萌え燃えポイント」または「ギャップ」とでもいうべきだと見ている。特に最近はツイッターの4ページ漫画の普及により、出版業界では以前よりも「ギャップ萌え」が重要視されるようになったようだ。4ページの漫画でスパッとオチをつけるにはギャップ萌えがとても有効な手段なのだ。

作中に例として出てきたダイハードのログラインがわかりやすいと思う。「タフなデカと、キャリアウーマンな別居中の妻」…ログラインから読み取れるこの二人の要素はかなりのギャップなのではないだろうか?


⚫要素その弐:イメージの広がり

これはほぼそのままで捉えていいと思う。しかしこの「イメージの広がり」はログラインの読み手の想像力に委ねられる部分が多いのが欠点。ログラインからシュパッとイメージを膨らませられないような編集者に出会わないことを祈る。

…まぁ自分のログラインが悪いって事がほとんどなのだが…悲しみ。


⚫要素その参:観客と製作費

観客はまぁそのままで捉えていいと思う。情報を更に継ぎ足すとしたら「掲載雑誌の方向性」も意識すると良い。

製作費は映画業界内の話だが、少しひねると漫画にも適用できる…「アニメ化しやすいか」、「グッズが売れるようなキャラデザか?」、「ツイッターで宣伝したらRTやいいねをたくさんもらえるかどうか」などだろうか。


……という訳で簡単にだが、Save The Catの法則を整理して出来た自分なりの漫画術を紹介してみた。

ブレイク・スナイダー氏の真似ではないが、もしも自分のログライン術で読み切り掲載に、そして連載に繋がった時は、ぜひ教えてほしい。


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